助産学と歯科の連携が育児を明るくする
理事の大塚千夏子です。
2026年6月20日・21日、
Early Childhood Oral Academy(ECOA)のオブザーバーでもある
歯科医師・青木かなえ先生が主催する
歯科医療従事者向け勉強会が開催されました。
ゲスト講師として登壇されたのは、
私たち協会のシニアフェローであり助産師の難波直子先生。
その講演内容の一部をご紹介します。
■なぜ歯科が助産師から学ぶのか?
いま、歯科業界は「小児口腔発達」に注目する人が増えています。
子どもの口腔発達を見るためには
子どもの成長・発達を学ぶことは必須ですが
育児をする親のリアルを学ぶことは後回しになりがちです。
妊娠期の親の姿勢、
乳児の授乳への知識だけでは
親の困りごとや不安に寄り添うことは難しいのです。
翻って見れば
親の困りごとや不安へのアプローチができれば
子どもへのアプローチができるということです。
今回の難波先生の講義は、
そのことを改めて確認する時間となりました。
■ほとんどの人が知らない、産後のリアル
難波先生のお話で印象的だったのは、
「現代の育児は20年前とはまったく違う環境になっている」
ということです。
晩婚化によって祖父母も高齢になり、
コロナ禍を境に里帰り出産を選択する人は減りました。
分娩施設は減少し、
入院期間も短縮され、
出産からわずか数日で母親は赤ちゃんとの生活をスタートします。
一方で、多くの親は
わが子を抱くまで「赤ちゃん」に触れた経験すらない
まま育児を始めています。
かつて地域や家族で支えていた子育ては、
いまや「親だけ」で抱え込むものへと変化してしまいました。
そして、出産は決して「終わり」ではありません。
難波先生は、出産を
「富士山を一気に登って降りてくるほどのエネルギーを使う」
と表現します。
身体は大きなダメージを受け、
ホルモンバランスは急激に変化し、
その状態で24時間休みのない育児が始まります。
それでも社会は、
「母親だからできる」
「自然に母乳は出る」
「育児は慣れるもの」
という思い込みで育児をする親を見ています。
しかし現実には、
授乳一つとっても高度な技術が必要であり、
睡眠不足や身体の痛み、
精神的な負担の中で、
多くの母親が
充分に教えてもらうことなく自力で何とかしようとしています。
そしてうまくいかないと
「自分が悪い」と自分を責めています。
「そろそろ慣れたでしょう。」
「そんなことで悩んでいるの?」
周囲のその一言が、
母親をさらに孤立させてしまうことがあります。

■歯科だからこそできること
では、この話は歯科とどのようにつながるのでしょうか。
歯科は
「できるだけ早く赤ちゃんの口を診てあげたい」
親は
「乳歯が出てきたら検診に行く」
「歯磨きを頑張ってむし歯さえ作らなければ歯医者さんに行かなくて済む」
ここにギャップがあります。
そのギャップを埋めるひとつのヒントが
「お母さん自身」を見ることです。
産前産後と切れ目ない関係を構築することです。
赤ちゃんを話題に出す前に、
「最近眠れていますか?」
「授乳や育児で気になること、なんでもお話ししてください」
「困っていることはありませんか?」
そんな何気ない一言が、
お母さんにとって
「自分を気にかけてくれる人がいた」
と感じられる時間になるかもしれません。
歯科医院は
定期的に親子が訪れることができる
数少ない医療施設です。
だからこそ、
子どもの口腔だけではなく、
親子の暮らし全体を見守ることができます。
もし気になる様子があれば、
助産師や保健師、管理栄養士、保育士など、
必要な専門家へつなぐ。
それだけでも、親子を孤立から守る大きな力になります。
何気なく近所の歯医者さんに行っただけなのに
自分のことを気にかけてくれる…
困ったことを口にしたら、相談先を教えてくれる…
そうすれば
おかあさんはそのクリニックを信頼して
自分の口腔ケアだけでなく
子どものことも任せたい!家族みんなも!
と思うでしょう。
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Early Childhood Oral Academyについて
詳しくはこちら
https://kodomoseiiku.jp/lp/ecoa/

