お口徹底解説〈Part6-1〉 口腔の基礎知識:「甘いもの=歯に悪い?」という呪いからの脱却

皆さん、こんにちは。

歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。

 

夏休みもそろそろ終わる頃ですね。

皆さんのご家庭ではどんなお休みを過ごしましたか?

 

私は久しぶりにプラネタリウムを観に行ったり、知人からのオススメしてもらった

美味しいしゃぶしゃぶを食べに行ったり…

少しの期間でしたが楽しく羽を伸ばすことができました。

 

ただ、そんな時はいつもの食生活と異なり暴飲暴食することもあります。

 

例えば、

★しゃぶしゃぶでは時間制限なく、ごはん・お粥・中華麺がお替り自由だったので

   いつもの食事時間より長く食べていた

★クリニックの仕事中であればおやつを食べるタイミングはないけれど、

   お休みで友達と一緒だとお茶やおやつタイムがついつい増える

★お泊り会で夜遅くまで飲んだり食べたりしていた

★目一杯遊んで食べてが優先になりいつもより歯磨きが疎かになっていた

 

皆さんも思い当たる節はありませんか?

 

大人も子どもも時にはこういったリフレッシュやリラックスすることは必要です。

けれど、食生活や口腔ケアの乱れが長く続いてしまうと、心配になるのはお口のトラブルである

むし歯ができたり歯周病が悪化したりすることです。

 

そこで今回は食生活の習慣に焦点をあてて、甘い物とむし歯の関係についてお話しを進めていきます。

 

「甘い物好き⇒だからむし歯が多い」はホント?

ではここで、むし歯の成り立ちについて説明します。

下に示した図の左上から

①歯質の状態

歯が 丈夫(硬い)⇔脆い(柔らかい)

②食生活習慣

ショ糖の多く含まれる食べ物の摂取が 少ない⇔多い

③むし歯菌

むし歯に関与する菌の量が 少ない⇔多い+おとなしい⇔元気

④放置時間

食事時間が 規則正しい⇔不規則・暴飲暴食しがち(ダラダラ食べ)

 

この4つの要素のバランスが右側に傾くとむし歯のリスクが高まり罹患します。

②食生活習慣と④放置時間を日常的にどう過ごしているか?で

①歯質の状態と③むし歯菌に影響した結果むし歯になりやすいか⇔なりにくいかが

左右されます。

 

むし歯に関与する菌は、甘い物に代表されるショ糖をエネルギー源として活動を高めます。

 

活動が高まると酸を産生し、その酸によって歯の表面のエナメル質が溶かされ(脱灰)

その状態が続くとむし歯になります。

 

この脱灰という作用は、実は食事の度に起こっていますが、唾液中のカルシウムやリンなどのミネラルが歯にくっつくことで

溶かされ始めた歯質を硬くする作用(再石灰化)が働き、酸から歯を守っています。

 

さらに食後の歯みがきなどの口腔ケアで、食べ物を取り除いたり歯面に付着した細菌の塊である歯垢(プラーク、バイオフィルム)を

取り除いたりすることでお口を健康に保っているのです。

多くの方が、「甘い物は歯に悪い」「甘い物好きてたくさん食べるからむし歯になる」と思っているようですが
正確に言うと「ダラダラ食べが習慣化して、脱灰の作用が長く続くとむし歯になる」のです。

 

また、ショ糖は甘いお菓子だけに含まれる栄養素ではないので

おやつや主になる食事も時間を決め、食事と食事の間を3時間以上開ける工夫が必要です。

 

むし歯の予防をするには、甘い物を全て排除するのではなくダラダラ食べをしないことが大切なのです。

 

次回は、昔からの知恵をいかした「むし歯予防」の方法をご紹介します。
 

宗田 香織

1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。

2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・

インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。

2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。

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