こんにちは。日本こども成育協会の「中の人」です。
協会の主力事業の一つである『こども成育〈食専科〉』講座は、
「食べる」という行動を通じて、子どもの育ちについて学んでいきます。
協会ブログでおなじみの隅弘子先生も折に触れて、「食餌と食事」について触れていますが
「中の人」も、単に栄養摂取をするという意味での「食餌」と
家族で食卓を囲み、会話をしながら食べるという「食事」の違いを改めて考える出来事があり
今回皆さんにもシェアしたいと思います。
7月中旬に母が入院しました。
肺炎だったのですが、持病の薬の副作用により、白血球が著しく低下してしまったことが原因でした。
肺炎の治療のために抗生剤をいくら入れても、その武器の使い手である白血球、すなわち
自己免疫がないことには効果が期待できないとのことでした。
赤血球であれば、投薬などで増やすことも可能とのことでしたが、白血球についてはそうした方法はないとのこと。
原因となる薬の服用を中止して、自然に白血球が回復するのを待つしかないのですが
高齢ゆえに、それまで体力が持つかどうか…
「覚悟しておく必要があるかもしれない」と医師からも告げられました。
そうした先生の言葉に動揺をしつつも、流動食ではありましたが、何とか口から食べることができていた母。
「ごはんの力」を信じて待つことにしました。
面会時間にあたる食事はできる限り家族が付き添って声をかけたこと、
そして何より、ほかの患者さんの対応もあって忙しい中でも、
看護師さんたちが時間をかけて、励ましの言葉とともに食事の介添えをしてくださったことで
経口摂取を続けることができました。
看護師さんも、点滴をしていたとしても「口から食べないと元気にならない」と
懸命に介添えしてくださっていました。
そしてある日、訪問すると母がとても穏やかな表情で今朝見たという夢の話を話し始めました。
病室の窓から見ていた空を、鳥のように自由に飛んでいる夢だったそうです。
「元気になって家に帰れるのだ」と、とても嬉しかったと話してくれました。
そして、その日の朝食から看護師さんの介添えなしに、自らスプーンと食器を手にもって
食事をしようという意欲が湧いてきたと言うのです。
不思議なことに、その日を境に白血球の数も飛躍的に回復しはじめました。
この一連の出来事を思い返してみるに、「食事」の大切さを思わずにはいられません。
栄養を補うこと以上に、他者の関心と愛情に見守られながら食事をするということ。
そして、自らの手で「食べたい」という意欲が、生きる意欲を強く後押しするということ。
これは子どもに限らず、一生涯、変わらないことなのだと思います。
母の容体は回復し、現在はリハビリテーションに励んでいます。
退院したら、円形のダイニングテーブルを新調し、お互いの顔を見合わせながら
家族で食事ができるようにしたいそうです。
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『こども成育〈食専科〉講座』は再収録をおこない、今秋のリリースに向けて準備中です。
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