こんにちは。一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
当協会ブログにて、こども成育インストラクターの宗田さんが歯科衛生士の目線で「お口」について解説しています。
お口徹底解説〈Part1〉口腔の基礎知識:食事の悩みをお口の状態・機能・大人と子どもの違いから読み解く
同じテーマについて、私は栄養士の目線でお話しすることで
歯科・栄養の多角的な視点から子どもの「食べる」力についてお伝えしていきたいと思います。
アーンと食べるひと口に幸せを感じていますか?
「ひと口ちょうだい」という言葉を、私は頻繁に言っている食いしん坊です。
お口にいれた瞬間、おいしさが増す気持ちになります。
このおいしさとともに幸せを感じる最高瞬間のひと口は、結婚式などで行われる「ファーストバイト」のワンショットでしょうか。
ただこの場合、だいたい大きなワンカットのケーキを強引に押し入れていることが多く、
大抵手で抑えながら、頑張って食べているようです。
幸せに水を刺すような総評を言うならば「ひと口が大きい!」ということでしょうか 笑
普段の食事においては、より食事を味わうことができ、安全に体に栄養として届けるための
ひと口サイズのベストを知り、食べていくことが大切です。
「ひと口サイズ」のベストの「かたさ」に注目しよう
先般の歯科衛生士・宗田さんの記事にあるように、大人と子どもの歯の本数は異なります。
また1本のサイズも乳歯と永久歯では違いがあるため、噛む力=馬力が違います。
馬力というとパワーというイメージですが、当然のごとくお口の中の面積も変わってきます。
特に奥歯といわれる臼歯は食べ物をすり潰すための歯といわれますが、そもそも臼歯本数が少ない乳幼児はすりつぶす力はもとより、
すりつぶしができる面積自体が少ないという違いがあります。
そのため、幼児にとってサラダなどの生野菜を食べることは、大人が思っている以上に負担が大きいのです。
献立として用意するのは簡単ですが、その分食べるのに時間がかかりやすく、食べきれなかったということも。
根菜類は過熱することで食べることができますが、他方で生食で食感が楽しめる野菜もあります。
いろいろなメニューやアレンジで経験の機会を増やしていけるといいですね。
お口のスペースにみあったベストひと口の量はどれくらい?
答えは「前歯で噛み取れるサイズ」です。
それ以上のサイズですと、お口の中で自在に食べ物を動かすことが難しいですね。
お口の右側に寄らせたり、左側に寄らせるように動かすには、前歯で噛みちぎれるサイズ感がベストです。
それ以上にサイズでお口にいれたら、まさに「お口に頬張るサイズ」。
頬が張ってしまいます。
これではあとの動作は「飲み込む・詰め込む」と無理やり喉へ押しやる動作が続き、
この連続が丸飲みという習慣を生んでしまうこともあります。
ひと口お口に入ったら
頬張っている状態になっていないか
奥歯のほうまで食べ物が行き渡っているか
を確認してみましょう。
お子さんに「奥歯で噛んでる?」と口頭で聞くのではなく、ほっぺのあたりをつんつんしたりして、
「ここに食べ物きてるかな?」などアクションすることを心がけてみてください。
こうした「お口の中でよく噛む=よくすりすりしながら味わう」という練習を
食卓で家族の会話を通して楽しめるといいですね。
冒頭にてお伝えした「最高&最幸」のひと口ショットを家族みんなで撮ってみてはいかがでしょうか?
次回は、ひと口のサイズで食べる力をあげていくための練習をしていくうえで
気をつけたいポイントをお伝えします。
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。