観察を阻む要因となる「認知バイアス」-『観察力の鍛え方』より

こんにちは! 日本こども成育協会の「中の人」です。

 

これから不定期に、日本こども成育協会のコンテンツや情報発信に関連した

書籍や情報源などをご紹介していこうと思います。

 

第1回は、佐渡島庸平著『観察力の鍛え方』です。

 

日本こども成育協会が提供するコンテンツや情報では

「観察」が一つのキーワードになっています。

 

また、先月このブログでもご紹介した株式会社Patataがリリースした

WEBアプリ「CHILDSCOPE みてた?」は、子どもの成長や発達を

動画を通して「観察」するアプリとして開発されたものです。

 

「中の人」も協会のコンテンツ開発や情報発信を通じて「観察」について

考える機会が多いのですが、先日、書店で偶然本著に出合いました。

 

『観察力の鍛え方』は、『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』『漫画 君たちはどう生きるか』

などのヒット作を手がけた編集者 佐渡島庸平氏の著書です。

 

クリエイターの観点から、実際の制作現場の事象に基づき、手がけた漫画の場面を

引き合いに出しながら、「観察力」について考察された非常にユニークな内容でした。

 

特に印象に残ったのは、「観察を阻むもの」という箇所です。

 

佐渡島氏は、阻むものとして

 

  1. 認知バイアス
  2. 身体・感情
  3. コンテクスト

 

という3つのポイントを挙げています。

 

各ポイントの詳細については、ぜひ本著を読んでいただきたいと思いますが

中でも、もっとも「観察」に歪みを与えるのが「認知バイアス」という点に

とても納得感がありました。

 

認知とは、対象を知覚し、それが何であるかを判断・解釈するプロセスですが、

そればバイアス(偏り)として働くことがあると言います。

 

…自分の思い込みや周囲の環境といった様々な要因により、非合理な判断をする

心理現象のことだが、人はそこから完全に離れることができない。

 『観察力の鍛え方』 102頁より引用

 

沢井佳子先生を筆頭に、日本こども成育協会が取り組んでいるのも

まさにこの「認知バイアス」に抗うことだなと思いながら読みました。

 

子育てでも、この「認知バイアス」が強く働いてしまうケースが

少なくありません。

 

人々の経験や風習などで説かれる子育て論、

「売らんかな」が先だってしまっている情報や製品サービスの氾濫、

SNSなどの発達により「隣の芝生は青く見える」といった機会の増大

 

など、観察に色眼鏡がかかる要因が非常に多いからです。

 

そのような状況に対して、協会では、保護者の方、あるいは子育てに関わる

全ての人たちが、子どもたちを客観的かつ詳細に見守り、合理的な判断ができるよう

日々知恵を絞っています。

 

さらに本著を読むことで、子育てにおける「観察力の鍛え方」を具現化し、

追求していく必要性を強く感じました。

 

参考文献:『観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』 

佐渡島庸平著 SB新書