糖分入り飲料を多飲することで欠乏する栄養素とは?

こんにちは。一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。

前回に引き続き、熱中症予防に関して管理衛生士の視点からお話しします。

熱中症対策を考える前に知っておきたいこと

 

飲みやすい飲料を常飲するとビタミン不足につながる?

前回、水分補給としてスポーツドリンクやイオン飲料などの糖分入り飲料は

量と頻度を注意したいとお伝えしました。

こうした飲料は、汗をかき水分とともに失われるミネラルを補うために

「よかれ」と思って選択される場合が多いと思います。

 

それでは、糖分入り飲料を多飲することで生じるデメリットとはなんでしょうか?

 

スポーツドリンクなどは、糖分(すなわち糖質)を加えることで

飲みやすくなっているのですが、その糖分を代謝するためにはビタミンB1が使われます。

 

ビタミンB1は、主に豚肉や豆類などに多く含まれる栄養素ですが

糖分入りの水分補給が続くことによって、ビタミンB1が追いつかなくなります。

 

すると、「ビタミンB1欠乏症」が起こりやすい状況を生み出してしまうのです。

 

実際に、幼児でもこの「ビタミンB1欠乏症」が報告されています。

 

欠乏症の症例一部には、膝の下のくぼみを叩いて足が自然に跳ね上がるかを

見て判断することで知られる「脚気」の症状があります。

 

また最近では、体調不良時にイオン飲料の多飲によるウェルニッケ脳症を

発症した事例(※)なども報告されています。

 

イオン飲料は、カリウムやナトリウムなどの電解質を含んでいると同時に

糖分も含まれているからです。

 

※日本小児科学会イオン飲料水の多飲による ビタミンB1欠乏症

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/shokuiku_12-3.pdf

子どもたちが水や麦茶を積極的に摂るためには

子どもは大人以上に水分を必要としていますが、適切な水分補給の選択を

意識することが大切だと言えます。

 

水や麦茶を飲み慣れないお子さんであれば、園でお友だちと一緒に飲水タイムを

設けるなどの対策によって、水や麦茶を摂る習慣をつけることも一案です。

 

また、自分から「喉が渇いた!」と十分に言えないことを踏まえて

大人から定期的に声かけていきましょう。

 

さらに園においては、水や麦茶を中心に日常の水分補給をすることが大切ですが

高温期は麦茶なども傷みやすくなります。

 

1日に複数回は作り直し、作ったものを温かい場所に放置しないなど

衛生対策も万全におこなってくださいね。

 

以上を参考に、猛暑が予想されている今年の夏も元気に乗り切っていきましょう!
 

 

隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士

【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。

都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。

子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。

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