子どもの成長発達に見合った「咀嚼」を考えてみよう!

こんにちは。一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。

4月となり、新生活がスタートしているご家庭も多いことでしょう。

保育所などの先生方も、園環境や新しい生活リズムへの順応への支援など

気持ちを新たにされていることと思います。

 

今回は、先日の歯科衛生士の宗田香織さんのブログでも取り上げた

「咀嚼」について改めてどう支援していくかをお伝えしてまいります。

 

咀嚼とは?よく噛むこと 以上!

この見出しの言葉は実に当たり前のように見えて、なかなか奥が深いです。

 

沢井佳子先生が監修されているTV番組「しまじろうのわお!」で

「そしゃく~よくかもう~」という私が大好きな曲があります。

 

「牛乳や汁物の前にもそしゃく!」といった歌詞を聴くと、

よしやってみよう!と心が奮い立つくらい好きな曲です。

参照:https://www.youtube.com/watch?v=b6Tcu3a0dj0

 

「よく噛んだ先には、なにがいいことがあるの?」

「いいことが待っているからやってみよう!」

 

と、子どもたちの「やってみたい」のという気持ちに火をつけるように

普段の食卓でもコミュニケーションをとりたいですね。

 

一方で、皆さんが思っている咀嚼とはどのようなイメージでしょうか?

多くの方が、「咀嚼=30回噛む」といったイメージを

無意識的にお持ちではないかと思います。

 

けれど、このイメージを子どもにそのまま当てはめることはできません。

 

咀嚼能力にみあった硬さがポイント

咀嚼の役割とは、ごっくん(嚥下)しやすい食べ物のかたまりを作り

胃に届ける動きです。

 

特に、乳幼児期の食事はその咀嚼能力にみあった硬さの食事を

心がけなければなりません。

 

乳幼児期は口腔の発達も著しいので、その発達段階に適した硬さをぜひ考慮してください。

 

私が児童館で行っている食事相談で、「子どもがしっかり噛んでくれません」

といった相談が離乳後期くらいから徐々に出てきます。

 

「何回くらい噛んでいますか?」と聞くと、

「数口ですぐ飲み込みます」という答えが多いです。

 

離乳後期の時期であれば、数口でもお口でふむふむ、もぐもぐ、かみかみしていれば

良いのではないでしょうか?

 

この時期は歯が生えている子、そうでない子もいます。

また、目安の硬さについては歯茎でつぶせる硬さです。

 

歯茎でつぶせるようなものをお口の中でどれくらい止めていられるでしょうか?

 

離乳食は大人の食事に比べて水分量も多く、柔らかいので

窒息せずに食べることができていれば合格だと考えます。

 

ですから、

「食べ物を、自分でごっくんしやすいようにつぶして食べているのであれば

十分噛めていると思っていいと思いますよ」

「手づかみ食べなどする時にはお口の中につかんだものを押し込みがちなので

前歯でかじりとれるくらいの、ひと口サイズの量に調整してあげましょう」

とお伝えしています。

よくかめる歯はどこ?

離乳後期ごろは歯が生えていても前歯中心というパターンが多いため

咀嚼の役割は、お口に入れた食べ物をごっくんする前に少し溜めてつぶす程度と認識しましょう。

 

大人の方が、試しに前歯付近で30回噛んでみてください。

 

口の先端がおちょぼ口になるような形で、咀嚼にあまり適していないことが

実感できると思います。

 

しっかり安定して噛むためには、お口の奥の方にある奥歯(臼歯)のほうが楽なはずです。

 

臼歯の「臼」は、ウスという漢字です。

臼のようにすりつぶすのが得意の歯という意味ですね。

 

次回は、乳歯の生える順番や、成長発達に合わせた咀嚼の指導方法について

お話したいと思います。お楽しみに!

 

 

隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士

【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。

都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。

子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。

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