「雪はなぜ雪の形をしているのか」と子どもに問われたら何と答えるか

こんにちは! 日本こども成育協会の「中の人」です。

 

9月も中盤を過ぎましたが、まだまだ暑さ厳しい日が続いていますね。

 

日本こども成育協会では、夏の親子イベントもひと段落し、

秋からの計画に専念し始めているところです。

 

秋と言えば、「中の人」には「読書の秋」が筆頭にくるのですが

今年は酷暑で休日は自宅にこもることが多く、「読書の夏」でした。

 

出合った書籍の中で、日ごろから沢井佳子先生がお話されていることに通じる

素敵なエピソードがありましたので、今回ご紹介したいと思います。

 

 

イ・キジュのエッセー『言葉の品格』にあったエピソードです。

 

イ・キジュさんは、新聞記者を経て作家デビューをされた方で

『言葉の品格』をはじめ、そのエッセーが韓国でベストセラーとなり

日本語にも翻訳されています。

 

エッセーの中で、お母さまとのエピソードがよく取り上げられています。

 

イ・キジュさんが言葉を扱う仕事を天職とされたのも

お母さまの影響が大きいことがよくわかる内容が多いのですが

今回ご紹介するものも、それがとても顕著でした。

 

『言葉の品格』の「質問」という章です。

 

章のサブタイトルに、「本質と真実を問うてみること」とあります。

 

それを説くエピソードとして、幼いイ・キジュさんが

空から降る雪はなぜ冷たいのかと、お母様に聴いたエピソードが添えられていました。

 

まず、水蒸気が空から落ちる時に雪に変わると答えたお母さま。

 

すると続けて、なぜ雪に変わるのか、水蒸気のまま降ってきてもよいのでは

ないかと少年イ・キジュは問い続けます。

 

その質問に対して、お母さまがおっしゃったことに胸がとても震えました。

 

長い間、地球にとどまりたくて雪の形になるのではないか。

水蒸気では地面に落ちたらすぐに消えてしまうから。

 

こういったお話をされたのです。

 

 

お母さまがそうお答えになったことをイ・キジュさんは振り返りながら、

単に普遍的な定義のみならずお母さまなりの定義まで教え聴かせてくれたこと、

それこそが真の意味での教育であること。

 

そして、教育とは、一方的に考えを注ぎ込むことではなく、相手の潜在能力を

引き出す助けをすることだと結ばれています。

 

 

まさに、イ・キジュさんが多くの人の心を震わすようなエッセーをお書きになるのも

こうしたお母さまとのやりとりの積み重ねの果てにある道なのだと

至極納得がいきました。

 

 

沢井先生も常々、こうしたお子さんと親御さんとの会話の大切さを説かれています。

 

正解を教える事だけに固執してしまうと、正解を知らないことに対して

親御さんが尻込みしてしまうことになりかねません。

 

そうではなく、一緒に解釈を楽しむこと。

 

分からない、知らないのであれば、共に調べ、大人なりの考えを伝えること。

 

そうしたやりとりこそが、子どもの潜在的な力を刺激し、引き出すきっかけと

なり得るのではないでしょうか。

 

そんなことを想ったエピソードでした。

 

『言葉の品格』イ・キジュ著 光文社刊