Webアプリ「オヤトコ診断」の開発ストーリー第二弾では、開発者の一人である
協会理事 大塚千夏子のストーリーをご紹介しています。
前回は、「オヤトコ診断」をはじめ当協会が制作しているコンテンツ、
すべてに共通する「こどもを観察する力」に着目した理由についてお伝えしました。
観察をすることなしに、問題を大きくとらえてしまう―「オヤトコ診断」開発ストーリー(6) はこちら
今回は、「オヤトコ診断」のベースである『こども発達スケール(R)』の誕生秘話を大塚が振り返り、
お話いたします。
―こどもの発達の羅針盤があれば、保育や育児の現場はもっと快適になる
大塚:前回もお伝えしたように、月に1回沢井先生とお目にかかって、こどもの認知・発達に関する
様々なお話を伺っていくうちに、これを何か形にしていきたいという思いが募るようになりました。
まず、私たちが沢井先生にお願いしたことは、こどもの発達の段階で現れるこどもの行動、状態、
コミュニケーションなどの目安を一覧に仕立てていただくことでした。
協会の母体である株式会社Patataでは、保育園のデザイン、設計を事業としておりますが、
まずはそうしたデザインや設計図を考える際に、羅針盤として非常に役立つものとなりました。
たとえば、こどもは一人で歩けるようになると、次に20cmぐらいの高さの場所から
飛び降りたくなる傾向があるそうです。
「飛び降りる」という行動を通じて、こどもは自分の力試しをしています。
そこで、「飛び降りて怪我をしてしまったら危ないので、段差をなくしましょう」とするのではなく、
こどものチャレンジ精神を尊重しつつ、事故につながらないようなデザイン、設計上の配慮をしてあげるのです。
この一覧は沢井先生の長年のご研究の蓄積による膨大な量のローデータが基本となっており、
私たちは『こども発達スケール(R)』と名付け、バイブルとしています。
『こども発達スケール(R)』を見れば、発達の段階で生じる行動、状態などを追うことができ、
そのときにお子さんにどのような見守りやサポートが必要なのかがわかります。
私自身は育児の経験はないのですが、『こども発達スケール(R)』をもとにすればこどもの発達について語れるようになれるほど、
その内容は多岐にわたり、かつ詳細なものでした。
一方で、「発達心理学」という学問は、保育園や幼稚園の教諭資格には必須ですが、学んだことはあるものの、
残念ながらその知識が現場で役立てられていることが少ないというお話を伺っていました。
そうであるならば、保育の現場で実践に基づく『こども発達スケール(R)』は役立てていただけるのではないか。
また、お子さんの発達の段階を養育者の方々が知っていれば、育児にかかる様々な不安や心配、
そしてイライラなどが軽減できるかもしれない。
「これでいいのかな、あれもできていないな、私の子育てダメなのかな」と自信を失うようなネガティブな視野から、
「うちの子は次に何ができるようになるのかな?」とポジティブな見通しをもって、
肩の力を抜いて子育てができるようになるのではないか。
このようにして、『こども発達スケール(R)』をもとにしたコンテンツの光が見えはじめてきたのです。
次回へ続く。