この4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。
児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。
「好きになっちゃった!」を生み出す食べ物体験を一緒に!【実践編】①はこちら
◆これを知っていると工夫ができる!――「好き」になる食体験づくり(調理時)
一度嫌いになった食べものを好きになるには、とても時間がかかることも覚悟しましょう。根気よくかつ自然な声がけで応援する気持ちで食体験を積ませてあげましょう。
調理のときに意識するポイントは「興味をもってもらう」「安心を感じる」ことです。
食べてみたいけど・・・食べられるかな、食べたくないを解消するには?
*きれいに(丁寧に)盛り付ける
*親しみのある味付けからはじめる
*切り方の工夫(食べやすい大きさ、噛み切れるような切り方など)
*お気に入りのキャラクターの力を借りる
◆これを知っていると工夫ができる!――「好き」になる食体験(食卓でのおけいこ)
日々の食事は「食べる」ことの訓練の場です。「どうぜ食べないから」と食卓の上からその食べものを避けないようにしましょう。よく目にするものには好印象をもつといった研究結果もあります。何でもかんでも小さく刻んで混ぜ込み、むりやり食べさせることばかりせず、食べてくれなくても「お供え」する気持ちからはじめましょう。
STEP1:食べる経験を増やしましょう。まずは8~10回繰り返して
まず、大人が食べるタイミングで勧めることから初めてみましょう。無理強いは禁物です。香りを一緒にかいでみたり、お口の近くまで「あーん」ともっていき徐々に距離感を近づけていきましょう。
その時の声がけは「ひとくち食べてみない?」とシンプルな声がけのみ。あれこれ、言葉を増やしていくと次第に説得じみたセリフになるので要注意です。お子さんのお口の中にはいったらお母さんから「おいしいね」「どんな味がするかな?」「げんきになる味だね」など前向きな言葉でリードしていきます。
STEP2:食べてみたい気持ちを高める食卓を
単に「食べようね」と勧められるだけではなく、大人が食べているのを見る方がたくさん食べるという研究結果もあります。大人が美味しそうに食べるだけでも食べてみたいという気持ちを高めることができます。美味しそうに、楽しそうに、を心がけて食べるお見本をみせてあげましょう。
また、いつも一緒に食べている家族以外にもお友達と一緒に食べるという方法も効果的です。お友達と一緒に食べる機会を設けてみるというのはいかがでしょうか?
また、嫌いとする食べものが好きというお友達がいると案外「食べられた」という経験につながりやすいですね。誰かが食べているという行動をよく観察できる環境を作ってあげることが模倣(まね)につながり、幼児期において重要な学習になります。
◆好きになるのと「好みが増す」は違う
根負けしそうな時、つい「これ食べたら、遊んでいいよ」と言ってしまうことがありませんか? 「食べること」と「お楽しみ」を交換条件として食べさせようとすることです(外発的動機づけ)。一見、食べてくれる動機を与えているのですが、仮に食べたとしても「好き」を広げることができません。「食べた」ということを親目線で考えるのではなく、「食べてみようかな」という、子どもの意思・気持ちを育む食行動を応援してあげてほしいと思います。
そのためには一緒に作る、食べものを話題にしたり、一緒に買い物先で選んでもらうなど、目的の食べものとの距離を縮める工夫をすることも大切です。手先が少しずつ器用になってきたら積極的にお手伝いをしてもらいましょう。その積み重ねで好きになる経験も増えていくでしょう。最後に「食べられた」という時は、必ず「食べられたね」「すごいね」「かっこいいね」「ママとっても嬉しいな」と笑顔で返してあげてくださいね。