「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、昨年4月号より今年3月号まで1年間連載をしておりました。
児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開しております。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。
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今回で最後となる連載では、厚生労働省「保育所における食育に関する指針」に掲げられている乳幼児期の食育目標に沿って、家庭でも実践しやすい食支援のヒントをお伝えします。
◆「保育所における食育に関する指針」とは
厚生労働省より平成16年に発表された「保育所における食育に関する指針」で、食育目標として下記の5点があげられています。
「保育所における食育に関する指針」
① お腹がすくリズムのもてる子ども
② 食べたいもの、好きなものが増える子ども
③ 一緒に食べたい人がいる子ども
④ 食事作り、準備に関わる子ども
⑤ 食べものを話題にする子ども
私は、日常の活動を通し、保育所に通っていないママ向けの幼児食講座などでもこの指針を活用し、家庭でできる「食べること」についての支援になるヒントや実践法をお伝えしています。
◆うちの子、食が細いのでしょうか?―おなかがすくリズムがもてる子ども
子ども自身が「おなかがすいた」という感覚がもてる生活リズムで毎日を過ごせているかを見直してみましょう。
乳幼児期のお悩みに多い「食事時間が長い」という点も実はお腹がすいていないため、結果として食べるスピードが遅くなるということも考えられます。
3歳までは、食事に加えて2回の間食が必要であるという知識が、お母さん達に先行しがちです。
外遊びなどで身体活動をしていないとお腹がすかないこともあるでしょう。
また間食の内容を聞いてみると、牛乳・乳製品があがることが多いようです。
栄養価の高い食品ではありますが、子どもの胃のサイズや消化能力からすると消化に時間がかかり胃に溜まりやすく、空腹にならない場合もあります。
また、お出かけ時や園から帰宅後、夕食の支度前、または「ギャン泣き」状態になった時、その場を鎮めるためにお菓子を与える習慣をつけると食事時間になっても食べられません。
食事の時間を規則的に整えたとしてもお腹がすいていなければ、食べてくれない、食事時間が長引くといったお悩みにつながりやすいのです。
◆好き嫌いが多くて困りますー食べたいもの、好きなものがふえる子ども
食に関するお悩みとして、乳幼児期は特に「偏食」「食べムラ」が起こりやすい時期ですね。
また、口腔機能や、消化吸収能力が高まることで新しい食べものを食べる機会が増えていきます。
この時期に、こどもが新しい食べものに興味や関心を持つ支援や、「食べてみようかな」とチャレンジする気持ちになる支援も必要です。
「食べてみようかな」を引き出すポイントを3つご紹介します。
調理に関わる方が日常の当たり前と感じていることでも、お母さん方にとっては「知恵袋」と喜ばれるのが、「調理における工夫」です。
<食べてみようを引き出す3つのアプローチ>
「園では食べるのに家では食べてくれない」といったお悩みがある場合は、積極的にお伝えしてみてはいかがでしょう?
また「食の悩みは食卓で解決しなくては!」と頑張るお母さんがたくさんいます。
食事の問題の解決方法は食事の時間だけではなく、日常のやりとりの中にあることをお伝えしてください。
おままごとの仕方や食べものの出てくる絵本の紹介などはとてもいい教材となるでしょう。
そして「もぐもぐエクササイズ」のように、食べる楽しさを施設・家庭双方でおけいこできる環境を、支援していただきたいと思います。
早食い・丸のみとならないように気を付けて、よく噛んで食卓が楽しい場となる土台作りがとても大切だと思います。
楽しく食べるこどもに~保育所の食育指針から保護者に届く食支援を~②に続く