こんにちは!理事の大塚千夏子です。
街ですれ違う妊婦さんや、
ベビーカーを押していたり赤ちゃんを抱っこしていたりするお母さん。
その方が今、
どんな毎日を過ごしているか、想像したことはありますか?
私たちが歯科クリニック向けに実施している研修プログラムの
Early Childhood Oral Academy(ECOA)の初日には、
助産師の難波直子先生による「マイナス6か月から1歳半までの母体と赤ちゃん」の講義があります。
お口の健康を支える歯科で、なぜ助産学を学ぶのか。
それは、妊娠期のお母さんの口腔の健康とおなかの赤ちゃんの健康が
繋がっているからです。
でも、
妊娠期の歯周病は早産や低体重出生につながります!
と「伝える」ことが
相手が自分事として「受け取る」こととは別です。
まず相手の状態を知ること。
そして信頼を得ることをなによりも優先する。
そのコンセプトの下、
初日に「助産学」を学ぶのです。
妊娠期から出産後の母体の変化やメンタルの変化、
家族をはじめ周りの人の関わり方、
実は学ぶ機会が少ない
この分野に触れた受講者の皆さんの感想を読みながら、
その意味を改めて振り返りたいと思います。

写真右:講師 難波直子先生(助産師)
■「経験がある」から、わかるとは限らない
今回、受講者から寄せられたのは、
産前産後のホルモンの変化への驚きでした。
体の変化、生活の変化に加えて、
こんなに大きな変化が起きていたのか!と
はじめて知ったという感想や
ご自身の出産当時を振り返り、
あの頃のしんどさに納得された方もいらっしゃいました。
そして、その気づきは
「患者さんへの声かけや対応を、もう一度見直したい」
という思いにつながっていました。
私は、この振り返りがとても大切だと思っています。
出産や育児の経験は、
その人にとってかけがえのないものです。
でも、自分の経験だけで、
目の前にいる妊娠期ママ、産後ママの状態を理解できるとは限りません。
経験したことがある方も、ない方も、まず学ぶ。
その上で「この方は、今どうなのだろう?」と関心を寄せることが、
相手を理解する入口になるのです。
■声をかける前に、相手の「今」を想像する
講義では、妊娠中の体と気持ちの変化から、
産後の疲労や不安、授乳、家族との関係までを学びます。
例えば、
赤ちゃんとの生活で眠る時間が細切れになっている方に、
口腔やあかちゃんの健康のための知識を
伝えようとしても、
受け止める余裕がないかもしれません。
お口のケアを伝える時にも、
まず相手の状態を伺い
「今、どのくらいならできそうですか?」
と、一緒に考えるところから始めることで
「受け取りやすく」なります。
受講者の振り返りには、
産前産後の不安を話せる場所の必要性や、
情報が多すぎて迷っている方に、
わかりやすく伝えたいという思いもありました。
知識が増えると、伝えたいことも増えます。
だからこそ、
その前に相手の話を聞くことを忘れずにいたいですね。
■妊婦歯科健診を、家族健康習慣の始まりにする
テキストで繰り返し示されているのは、
妊娠期の歯科受診を、
その後の育児や家族の健康につながる機会として捉える視点です。
受講者からも、
妊娠前から男女を問わず口腔ケアの大切さを伝えたい、
院内の掲示や情報発信を工夫したい、
という具体的なアイデアが出ていました。
お母さんだけでなく、お父さんや家族にも知っていただく。
赤ちゃんが生まれた後も、気軽に話ができる関係を育てていく。
一度の健診から、その先の暮らしへと視線が広がっていることを、うれしく思います。
■「ちょっと聞いてもいいですか?」と言える場所へ
もちろん、歯科だけですべての困りごとに応えることはできません。
だからこそ、助産師や保健師など、地域の専門職とつながっておくことが大切です。
話を聞き、
困っていることに気づき、
必要な支援へつなぐ。
その入口が、
いつも通っている歯科クリニックにあったら、
家族にとって心強いことでしょう。
ECOAで学んだことが、
明日の声かけを一つ変える。
その積み重ねが、
親子の安心と信頼を育てていくのだと思います。
「ちょっと聞いてもいいですか?」
歯科のスタッフからも、
来院の患者さんからも、
自然に生まれるクリニックを、
受講者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
Early Childhood Oral Academyについて
詳しく知りたい方はこちらからアクセスできます。
https://ws.formzu.net/dist/S453088081/


