こんにちは!
理事の大塚千夏子です。
シルバーウィークに突入します。
いつもより
子どもの遊ぶ姿に目を向ける機会が増える
このタイミング。
ぬいぐるみに焦点を当ててみました。
お気に入りのぬいぐるみを、いつも抱えている。
寝るときも、お出かけするときも一緒。少し汚れていても、手放そうとしない。
大人には同じように見えるその姿にも、
子どもの発達段階の違いが表れています。
認知発達の専門家・沢井佳子先生は、
2歳頃の子どものにとって
ぬいぐるみは「愛着の対象」と話します。
■2歳―自分がしてもらったことを、してあげる
2歳頃になると、
子どもはぬいぐるみを抱っこしたり、なでたり、
寝かせたりするようになります。
そこには、
日頃お母さんやお父さんにしてもらっていることが映し出されています。
沢井先生曰く、
“抱っこしてもらうことが少しずつ減ってくる時期だからこそ、
今度は自分がほかのものを抱っこしてあげる”
と説明します。
ぬいぐるみのお世話は、単なるものまねではありません。
自分が受け取った安心を、
別の存在へ渡してみる遊びでもあるのです。
また、ぎゅっと抱いたときの柔らかさや手触りも大切です。
沢井先生によれば、
抱えて安心できる感覚そのものが、ぬいぐるみの大きな役割になります。
■「くまちゃんが一緒なら大丈夫」
ぬいぐるみは、子どもと養育者の間をつなぐ存在になることがあります。
「くまちゃんと一緒だったら、ママが離れてもそこで遊んでいられる」
大好きな人がそばにいない不安を、
お気に入りのぬいぐるみが和らげてくれるのです。
大人は同じ商品やほかのぬいぐるみでもいいのでは?
と思いがちですが、
子どもにとって「いつもの子」は代わりのきかない存在です。
なくしたときに激しく泣くのは、
わがままだからではありません。
それほど深い愛着が育っている、ということなのです。
■3歳―ぬいぐるみに役割と物語が生まれる
3歳頃になると、
頭の中に思い浮かべたイメージを使うという段階に進みます。
ぬいぐるみは安心をくれる存在であるだけでなく、
「赤ちゃん」「お客さん」「病気の子」などの役を持ち始めます。
「この子は熱があるから病院へ行くの」
「今日はくまちゃんのお誕生日」
そんな言葉が加わり、遊びに「出来事」のつながりが生まれます。
2歳では、
目の前のぬいぐるみを抱く、なでる、寝かせる
という一つひとつの行為が中心。
3歳では、
それらの行為が物語の中の「出来事」として位置づけられていくのです。
■「何をしているか」より「どんなつもりか」
ぬいぐるみを床へ投げたかと思えば、
すぐに拾って「痛かったね」となでることもあります。
大人には乱暴に見えても、
子どもは転んだ場面を再現し、
その後のお世話まで含めて試しているのかもしれません。
「優しくしなさい」と行動だけを正す前に、
「くまちゃん、どうしたの?」と聞いてみましょう。
2歳なら
大人の問いかけを手がかりに、
もう一度抱いてみるかもしれません。
3歳なら
「階段から落ちたの。今から病院へ行く」と、
見えていなかった物語を話してくれるかもしれません。
同じ動作でも、その背景にある意味は発達とともに変わります。
答えがなくても、しばらく見守ると、
次の動きから「どんなつもりだったのか」が見えてくることがあります。

■同じ「ぬいぐるみ」を、長く大切にすることで見えてくる
年齢が上がったからといって、
幼い頃からのぬいぐるみを卒業させる必要はありません。
沢井先生のお話から見えてくるのは、
同じぬいぐるみが、発達とともに違う役割を担うということです。
2歳では安心を抱きしめ、3歳ではその存在と一緒に物語をつくる。
ぬいぐるみへの関わりをよく観察すると、
子どもの心の中に育っている愛着、模倣、想像の力が見えてきます。
くたっとした「いつもの子」を抱くその姿は、
子どもが自立へ向かうために
「安心のなわばり」をつくり出そうとしている姿なのかもしれません。

