そこで差が出る!秋のイベント 事故・ケガ予防(後編)

日本こども成育協会シニアフェローの所真里子です。

子どもの安全の専門家として研究を進める傍ら
事故防止のための監修、コラム執筆を行っています。

前回は、
子どもがものづくりをするようなイベントを開催する際の
キット選びの注意点についてお話をいたしました。

今回は「安全な環境の作り方」についてお話しします。

■安全な環境の作り方

今回立ち会ったワークショップの会場は
屋内で、50㎡くらいの明るいお部屋で目も行き届く良いハコです。

親子で「椅子づくり」を行う、ということで
作業台として会議用の机を並べて広いスペースを作っていました。

そして、その周りにパイプ椅子が並んでいました。

☑チェックポイント
机も椅子も大人仕様
子どもの足が床につかないパイプ椅子に座って作業するのは
体勢が安定せずに危険
椅子の上に乗って作業するのも転落など思わぬ事故に…

早速、イベントのご担当者に一緒に考えてもらいました。

では、どうするか?

参加者をお迎えするときは、
机の上にキット等を並べておき、
集まった方から親子で椅子に座っていただく。

一通りの説明が終わり、
チェアづくりを始めるタイミングで立ち上がっていただき、
椅子を片づける

参加のお子さんは立って作業。

子どもにとっては、机の上より、床の上での作業がしやすいようでした。

実際にやってみると、
椅子を片づけた分、スペースが広くなり、
参加者にとって動きやすい環境になりました。

午後には机も片づけて、
説明を受けるときにはパイプ椅子を出して
実際に椅子づくりをするときには
床の保護シートの上で自由な体制で作ってもらいました。

■景品やプレゼント等のお持ち帰り品も管理対象です

出来上がったチェアは自宅にお持ち帰りできます。
自分で作ったチェアですから
大切に使ってくださるでしょうが、
使い方を誤ると思わぬケガにつながります。

お持ち帰りの際には、
キットについていた取扱説明書(注意書き)を一緒に渡し、
特に注意してほしい点を口頭でお伝えするようにアドバイスしました。

例)椅子なので踏み台にしないでくださいね

  ネジが緩んでいないか時々チェックしてくださいね、等

 

今回はワークショップで作ったモノの持ち帰りですが、
参加者にプレゼントを用意したり、
くじ引きの景品を用意したりするイベントもありますよね。

これらによく使われる安価な玩具(おもちゃ)は、
ネットで多数売っています。

☑チェックポイント
対象年齢は確認していますか?

総じて、
安価な玩具の対象年齢は3 歳以上あるいは6 歳以上のもの
が多いので注意してください。

■安全確認は参加者の安心につながる

参加のお礼を申し上げながら、
持ち帰ったあとのチェアの注意点をお伝えしたところ、
保護者の皆さんは「なるほど」という表情で聞いてくださいました。

安全の話をすると、
「危ないイベントだと思われるではないか・・・」
と拒否反応をされる方もいますが、本当にそうでしょうか?

準備段階で安全確認をすることで、
スタッフにも参加者にも危ない点を事前に伝えることができ、
何らかの対策がとれます。

子どもが楽しく自由に経験を重ねるための環境を
安全なものとするために、何ができそうか、
一緒に考えていきましょう。

前半の記事はこちら

ワークショップのレポート記事はこちら
https://kodomoseiiku.jp/blog/250627-2/

書籍「保育者のための『ハザード』教室」の詳細はこちらhttps://shop.gyosei.jp/products/detail/11579?srsltid=AfmBOoqTKT5xfNhP8B58DJP_gEHewFiXCNiesq1q4NP-HUHiPgBjXIbr

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日本こども成育協会では、子ども向けイベント、ワークショップ、施設等の「安全の確認」に取り組んでいます。ご

相談等はこちらまでご連絡ください。

https://kodomoseiiku.jp/contact/

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<執筆者プロフィール>

所真里子(ところ まりこ):子ども製品・保育の安全

【専門分野】

子どもの安全(製品安全、リスクマネジメント、事故予防)
日本子ども学会常任理事
製品安全対策優良企業表彰(経済産業省)審査委員
ISOガイド50(子どもの安全)JIS化委員