こんにちは。一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
毎年、私が講師をしている専門学校の授業でトマトとパプリカの栽培を行っています。
今年は暑い日が続くことが幸いして、まさに「鈴なり」の実のつき方です。
収穫期に入りましたので、「保育者の卵たち」の反応などをレポートしてみたいと思います!
トマト=ミニトマトだと思っていた!?
栽培しているのは、中玉トマトサイズの高リコピントマトとミニパプリカでした。
けれど、だんだん何を育てていたか忘れてしまうほどの成長に、学生たちも驚いていました。
「こんなに大きくなるの?(トマト班)」
「こんなに小さくて大丈夫?細いよ(パプリカ班)」
トマト班の学生は、「トマトを育てるといえばミニトマト」と想像していたようです。
また、パプリカ班は「パプリカ=スーパーで売っているような巨大な大きさ」といった思い込みがあったようです。
実際の園児たちも、自分なりの経験値からおおよその野菜の大きさを把握していることでしょう。
実際に自分たちで育ててみると、「さまざまな品種があること」や「大きさが一定ではない」ということに気づきます。
スーパーで陳列されているようなサイズだけではないということを知るのも大切な発見ですね。
このようなやりとりを経て、「なぜベランダ栽培などでよく行われているミニトマトにしないのか」という授業を展開していきます。
昨今、ニュースなどでも見聞きする食品による誤飲・窒息を環境から防ぐため
・大きく育ちやすいサイズを栽培の品種にはとりいれる必要性
・誤飲防止ネットを使い、子どもたちが勝手に食べないようにする配慮の大切さ
といったことも学んでもらいます。
とれたてのトマトって? 観察して実生活に活かす
7月に入り、授業内で毎週収穫していきました。
個数や重量の計測をし、試食や収穫物を手に取り、観察する時間を設けています。
たくさん収穫できた時は、学校の職員にもお裾分けしています。
先生方からも「おいしかったよ」「甘かった」などの感想をもらえることも、食を通したコミュニケーションのきっかけになります。
これによって「食べものを話題にする子ども」という食育の目指すことの一つを実現しています。
また、収穫したてのトマトのヘタの部分がピンと立ち上がっているということも、
鮮度の見分け方としての視点であることを伝えると「へー!!そうなんだ!」という反応がありました。
これはそのまま子どもたちにも「とれたてはおいしいよ〜」と、好き嫌いのある子どもに
「食べるきっかけ」を与える言葉になることも伝えます。
番外編!リアルはらぺこあおむし
たくさんの収穫物を観察し、試食のためにカットしていたら思わぬお客様と遭遇!
なんと「あおむしさん」がトマトに隠れていました!
教室がパニックになるかなと思ったのですが、ある女子学生が愛おしそうにずっと見つめていました。
そして、授業の間も机の上にトマトとあおむしを置いて楽しんでいました。
「先生、トマトからあおむしがでてきたよ〜」と授業が中断する一幕も(笑)。
にょきにょき動いている様子に、「リアルはらぺこあおむしだね〜」と言いながら
みんなで「がんばれ〜」と応援する微笑ましい光景もありました。
その学生は家で育てると言って持ち帰りました。
虫が苦手な大人が増えている中でなんと心強い!
きっと将来、「虫先生」として子どもたちの興味の扉を開いてくれることでしょう。
私も授業を通して、学生の個性を知るきっかけとなりました。
あまりの実の付きの良さに枝が倒れてしまうなど、小さなハプニングもたくさんあるのが「育ちの授業」です。
「家に持ち帰って育て続ける」といった声が学生から出るなど、「命の大切さ」、
「協力してお世話する大切さ」など、食育や栽培で伝えたいことを本授業を通してたくさん吸収してほしいと思っています。
日本こども成育協会が監修をした(株)カゴメの保育施設向けプログラム
「ベジ・キッズ『考える力』プログラム・五感でいのちの不思議を学ぶ野菜栽培キット」
2025年予約開始は2024年11月ごろを予定しています。
https://www.kagome.co.jp/company/kangaeru-chikara/
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。