子どもの転落事故 ー 手すりの高さに加えて柵のデザインにも注意を

日本こども成育協会シニアフェローの所真里子です。

子どもの安全の専門家として研究を進める傍ら
事故防止のための監修、コラム執筆を行っています。

9月15日午後、東京都北区のマンション11階のベランダから、
5歳の男の子が転落し、亡くなる事故がありました。

エアコンが必要な季節が終わり、
窓を開け始める時期になると
子どもの転落事故が増える記事を、3月に書きました。

10月は、5月に次いで転落事故が多い月です。

改めて、ベランダからの転落事故予防についてお知らせします。

 

■5月と10月に多い事故

 

東京消防庁管内で、
令和2年から令和6年までの5年間に、

5歳以下の子ども63人が
住宅等の窓やベランダからの墜落・転落により
医療機関に救急搬送されています。

63の事案を月別にみると、
5月と10月が多いことがわかります。

出典:「こどもが住宅等の窓・ベランダから墜落する事故に注意!」(東京消防庁、2025年4月21日)

 

 

■保護者在宅中にも起きる事故

消費者安全調査委員会が、
子ども(6歳未満)の住宅の窓及びベランダからの
転落死亡事故を32年分(1993年~2024年)調べ、
134件の事故を調査したところ、

事故が起きたときの保護者の在宅状況は、
在宅が134件中65件(49%)、
不在(家族の送迎、ごみ出しなど短時間の外出を含む。)が55件(41%)でした。

 

具体的な事故事例を見ると、
保護者が1階にいるときに子どもが2階から転落など、
子どもだけで遊んでいるときに多く発生しています。

出典:「消費者事故等調査報告書 住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」(消費者安全調査委員会、2025年6月24日)

 

■ベランダからの転落事故から子どもを守る4つのポイント

2018年2月に東京都商品等安全対策協議会が出した提言のなかに、

子どもをベランダからの転落事故から守る
住宅選びのポイントとして次の4点が挙げられています。

 

●足がかりにならないデザインの手すり(足がかりとなる形状)

●手すりの高さは床面から110cm(できれば120cm)以上

●手すりの下部や格子間の隙間が11cm(できれば9cm)以下

●エアコンの室外機などが、手すりから60cm以上離れている。

 

出典:「子供のベランダからの転落事故に注意!~注意喚起リーフレットを作成しました~」(東京都、2018年3月15日)

 

報道によると、事故が起きたマンションは、
ベランダの柵が格子状になっていて、
男児はそこに足をかけて乗り越えた可能性があるとのこと。

 

■見落とされやすい足がかりの危険

東京都商品等安全対策協議会が行った検証実験等から

足がかりは厚み(幅)が25mmもあれば
子どもが手すりをよじ登る足がかりとなり得ることがわかりました。

つまり、わずかな隙間や突起であっても

足や指が入ったり、引っ掛けられたりすれば、
足がかりとなるおそれがあるのです。

 

「うちの子は大丈夫」、「我が家は大丈夫」

と過信せず、この機会にご自宅のベランダを点検してくださいね。

 

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日本こども成育協会では、子ども向けイベント、ワークショップ、施設等の「安全の確認」に取り組んでいます。ご

相談等はこちらまでご連絡ください。

https://kodomoseiiku.jp/contact/

<執筆者プロフィール>

所真里子(ところ まりこ):子ども製品・保育の安全

 

 

【専門分野】

子どもの安全(製品安全、リスクマネジメント、事故予防)
日本子ども学会常任理事
製品安全対策優良企業表彰(経済産業省)審査委員
ISOガイド50(子どもの安全)JIS化委員

【略歴】
ベネッセコーポレーションに20年以上勤め、教材編集、子ども研究、知育玩具や通販
商品の事故事例分析や安全基準づくりに取り組む。在職中に日本女子大学大学院で子ど
もの事故予防を研究。
2013年保育の安全研究・教育センター設立に参加。2021年4月~2025年3月まで、消費
者庁政策調査員として、教育・保育施設、放課後児童クラブ、障害福祉施設、介護施設
等から提出される重大事故報告書(約2500件/年)の調査及び照会業務に従事。
現在は子どもの安全の専門家として、研修講師、保護者への安全講習、製品安全行政
の委員、企業へのアドバイス等を行っている。

<著書>
『イラストで学ぶ 保育者のための「ハザード」教室
~子どもの「危ない!」の見つけ方・伝え方~』(ぎょうせい)