日本こども成育協会フェローの所真里子です。
子どもの安全の専門家として研究を進める傍ら
事故防止のための監修、コラム執筆を行っています。
もうすぐ春! と言いたいところですが、
まだまだ寒い日が続きそうですね。
ダウンジャケット、帽子、マフラー、手袋・・・
寒さ対策の防寒着は
冬のお出かけの必須アイテムですが、思わぬ事故が起きています。
■スキーウェアの巻き込み事故
昨年12月に、北海道小樽市にあるスキー場に設置された
ベルトコンベア状のエスカレーター降り口で
5歳のお子さんが亡くなる事故がありました。
報道によると、
着ていた衣服等が巻き込まれた際に
首が圧迫されたことによる窒息死とのこと。
痛ましく悲しい事故ですが、
予測不能なアクシデントだったのでしょうか。
■国際的な子どもの安全規格を読むと・・・
ガイド50と呼ばれる国際的な子どもの安全規格があり、
日本では2014年にJIS化されています。
この中に、次のような記述があります。
「可動体又は回転体(例えば、扇風機の羽根、(以下略))
との接触は、裂傷、外傷性切断又はその他の重大な傷害を引き起こすことがある。
このような接触は、髪の毛、服又は装身具が、
例えば、エスカレータ、
スキーヤーをロープで上まで引っ張っていくような装置としての
ロープリフト(中略)に挟まれたり、又は巻き込まれたりして、
頭皮の剥離、ひきずり、又は首の絞付けを引き起こすことがある。」
(「安全側面―規格及びその他の仕様書における子どもの安全指針」JIS Z 8050(ISO/IEC Guide 50 より)
事故の原因となった可動体(ベルトコンベア状のエスカレーター)は、
製品に潜む、子どもの安全を脅かすハザードとして挙げられています。
ですから、防ぐことができた事故ともいえます。
■サイズと首回りに注意
防寒対策として子どもに厚着をさせるとき、
体の動きを妨げるような状態になっていませんか?
また、大きすぎるサイズの衣服は、
何かに挟まれたり巻き込まれたりするたるみが生じやすくなります。
首回りにあるマフラー、帽子の飾り、フードなども出かける前に確認しましょう。
屋外イベントを主催する事業者さんは
安全対策の一つに、利用者の服装や装身具にも目を向けてください。
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日本こども成育協会では、
子ども向けイベント、ワークショップ、施設等の「安全の確認」に取り組んでいます。
ご相談等はこちらまでご連絡ください。
https://kodomoseiiku.jp/contact/
<執筆者プロフィール>
所真里子(ところ まりこ):子ども製品・保育の安全

【専門分野】
子どもの安全(製品安全、リスクマネジメント、事故予防)
日本子ども学会常任理事
製品安全対策優良企業表彰(経済産業省)審査委員
ISOガイド50(子どもの安全)JIS化委員
【略歴】
ベネッセコーポレーションに20年以上勤め、教材編集、子ども研究、知育玩具や通販
商品の事故事例分析や安全基準づくりに取り組む。在職中に日本女子大学大学院で子ど
もの事故予防を研究。
2013年保育の安全研究・教育センター設立に参加。2021年4月~2025年3月まで、消費
者庁政策調査員として、教育・保育施設、放課後児童クラブ、障害福祉施設、介護施設
等から提出される重大事故報告書(約2500件/年)の調査及び照会業務に従事。
現在は子どもの安全の専門家として、研修講師、保護者への安全講習、製品安全行政
の委員、企業へのアドバイス等を行っている。
<著書>
『イラストで学ぶ 保育者のための「ハザード」教室
~子どもの「危ない!」の見つけ方・伝え方~』(ぎょうせい)

