こんにちは、歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。
子どものいる環境でお仕事をされている方から聞いた話です。
子どものスポーツ指導者や親御さんから「飲水」に関わる困りごとの相談が多いそうです
『飲まないで戻って来る子どもがいる』
『水筒の飲み物が減っていない』
子どもに水分摂取(補給)の大切さを指導することの難しさと共に、
スポーツドリンクなど糖分の含まれている飲料とむし歯の関係も伝えなければなりません。
そのうえで、私からは
矯正中のお子さんがいる場合は、給水タイムで気をつけていただきたいポイントがありますよ、とお話ししました。
そこで、今回は
歯科衛生士の視点から特に近年増えている歯科矯正治療中の給水時のポイントについてお伝えします。
■歯科矯正治療をすることが“普通”“当たり前”になりつつある
私がこどもの頃(30〜40年前)は、歯科矯正治療をすることが珍しく、小中学生の時にはクラスまたは学年に1人いるかいないか…程度でした。
こどもの顎の成長(歯並びの良し悪し)や、歯科の方針(むし歯治療中心か予防中心か)の違いなど、年代ごとに変わってきた日本の歯科医療の特徴もあります。
けれど、同世代の方が大人になってから『若い頃に矯正しておけば良かった。』『親はなんでしてくれなかったのか。』『矯正した方が将来的に健康にも良いって言われたらやっていたのに。』とお話しされる方も多いのも実状です。
もちろん、全ての方に矯正治療が必要なわけでは無いこと、どんな治療にも必ずリスクやデメリットがあることも考慮して、まずはよく相談することが大切ですが、
私がこどもの頃と比べると歯科矯正をすることに対しての患者さんのハードルは低くなったと感じます。
■子どもの歯科矯正治療の種類
子どもの歯科矯正治療にはいくつか種類があります。
①ステージの違い
・小児における主に顎骨の成長を促す矯正治療
・乳歯と永久歯の生え替わりの時期〜永久歯が生えてから歯並びを改善する矯正治療
②器具の種類
・マウスピースタイプ
・ワイヤータイプ

その他にも様々な歯科矯正治療の方法や器具があります。
歯科矯正治療に必要なレントゲン・歯列模型・3Dスキャンなどの検査や資料からどんな矯正がどのタイミングで必要かを精査します。
■歯科矯正治療中の食事や水分摂取で気を付けたいポイント
成人の方でワイヤー矯正をしている場合は
“歯みがきがしにくそう”
“食べ物があちこちに詰まってむし歯になりやすそう”
と、イメージがしやすい分、食べ物の選択や食べ方に気を使ったり歯みがきを丁寧にしたりするなど口腔ケアの意識が高まります。
しかし、子どもはそのように連想するのが難しく、周りの大人のサポートが重要です。
また、飲み物の種類については見落としやすいものです。
特にスポーツ時や熱中症対策の給水として糖分が含まれている飲み物を頻繁に摂取すると、むし歯のリスクがぐっと上がってしまうことは盲点になりがちです。
ワイヤー矯正だけでなくマウスピース矯正でも甘い飲み物とむし歯の関係は考慮しないといけません。
マウスピース矯正は自分で好きなタイミングで着脱ができる事と目立たないという利点からこどもから大人まで多く取り入れられます。

食事の時はマウスピースを外しますが、
水分ならマウスピースをしたまま摂取できます。
クリニックでは、糖分が含まれる飲み物を「マウスピースをしたまま」摂取しないように指導をします。
理由は、マウスピースと歯の隙間に甘い飲み物が入り込み長時間密着すること。
そこで、むし歯を作る細菌が繁殖し酸を出すことで歯の脱灰(溶かされる)が起こるからです。つまり、むし歯のリスクが上がります。
また、スポーツドリンクや果汁には酸が含まれていることが殆どで、これにより酸蝕症(さんしょくしょう:酸により歯が溶けること)になることもあります。
“では、マウスピースを外して飲んで、またすぐ付ければ良いですか?”
という質問もよくありますが、
甘い飲み物が口の中に残っているので、そのままマウスピースを付けずに必ず「水で」うがいをするようにお伝えしたり、水分摂取そのものを「水」にするように提案したりします。
子どもの健康を考えて行う水分摂取。
子どもの口腔環境に注目して「ひとりひとりの状況」に合わせた指導を心掛けたいものです。
<当記事執筆者プロフィール>

宗田 香織(歯科衛生士)
1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。
2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・
インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。
2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。

