子どもの「思い出ばなし」と発達の関係とは?

理事の大塚千夏子です。

私たち大人が「むかし、ここに行ったよねー」と思い出ばなしをするときの
「むかし」はどのくらい前のことをイメージしているでしょうか?

おそらく、10年前、20年前、自身が子どものころとなると数十年ということもあるでしょう。

今日は「子どもにとっての“むかし”」とはどのくらい前のことか?
ということが話題に上がったのでシェアをしたいと思います。

それは、
日本こども成育協会が監修をしているマクドナルドのハッピーセットの
おもちゃの監修会議でのことでした。

■発達の階段

先月のハッピーセットのおもちゃは、
ディスクを指で押すと、ビューっと飛び出すランチャーの仕掛けがついていました。

会議のメンバーの5歳6か月のお子さん「Aちゃん(女の子)」が、
そのおもちゃで遊んでいる時のひとこと、

「Aちゃんがちいさいときにはさぁ、
 これ(指で押し出すしくみ)が かたかったんだよー」

と、思い出ばなしをしてくれたのだそうです。

会議メンバーは「小さい時って2歳くらいかな?いやいや3歳くらいかな?」
と思い浮かべながら、同様の仕掛けのおもちゃの履歴を見てみると、
ちょうど1年前の今頃に展開したおもちゃのことだとわかりました。

その「Aちゃん」のお母さんは笑いながら

「“ちいさいとき”って言うから、もっと前のことだと思って聞いていました!」

その時に、弊協会理事で発達心理学専門家の沢井先生から

「思い出ばなしができるって、大きな発達の階段を上ったということなのよ!」

と解説してくださいました。

 

発達階段ポイントは、

・同じ仕掛けの遊びを前にもやったことがあると覚えている
・前に遊んだ時の苦労を思い出して、今の遊びを工夫する
・今の遊び方に自分の進歩を感じている
・それを言葉で説明できる

5歳半くらいになると、時間の経過を認知して振り返ることができ、
かなり成熟した表現ができるようになるとのこと。

確かに、
「このおもちゃで遊んだ。おもしろかった。」というレベルではない思い出ばなしです。

「もう、そのへんの大学生と同じくらいのレベルで過去を思い浮かべて話しができるのよ」

とお話ししてくださいました。

 

■時間の知覚

とはいえ、人生が始まってまだ間もない幼児期は、

時間知覚と、それを表現する適切な言葉選びはまだまだ未熟で、

「前に花火大会に行った」→実は昨日のことだった
「むかし一緒に遊んだ□□ちゃんは…」→今日保育園であそんだお友達のことだった

など、大人の時間の感覚とはズレていて、
おもしろエピソードとして大人を笑顔にすることがしばしばあります。

沢井先生のアドバイスをひとつシェアします。

熱心に遊んだおもちゃは、そのパッケージにその年と日付を書いて取っておいて
5歳くらいになったら、「このおもちゃで遊んだの、覚えている?」と
思い出話を持ち掛けるとよい

とのこと。

覚えていないこともありますが、
そのおもちゃをきっかけに、
当時のことをいろいろお話ししてくれるかもしれません。

「どうせ覚えていないんだろうな」と侮るなかれ。

思い出を子どもと一緒に振り返ることは
子どもの成長発達をじっくり観察するチャンスとなる、という学びとなりました。

沢井先生によるマクドナルドのハッピーセットのおもちゃの解説は
マクドナルド社のリリースに掲載されています。是非ご覧ください。

話題のおもちゃの解説が掲載されているリリースです。
https://www.mcdonalds.co.jp/company/news/2025/0606a/