理事の大塚千夏子です。
初夏のある日、日本こども成育協会理事であり、
子どもの認知発達・視聴覚メディア設計の専門家である
沢井佳子先生にインタビューを行いました。
インタビューのテーマは
「こどものための製品・サービス開発における監修者の心得とは?」
長年、子どもの認知発達の専門家として、監修の実績を重ねて来られた沢井先生から
「監修者の視点」伺う約2時間のインタビューとなりました。
インタビュー動画はセクションごとに編集し、夏ごろから配信スタート予定です。
今回は、沢井先生が語ったお話しの一部を先行して紹介します。
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■監修者は何を見ているのか?
子ども向けコンテンツをつくるとき、何より大切なのは「子どもの頭の中に何が浮かぶか」をとことん想像することです。
大人が伝えたいことを押し付けるのではなく、子どもの世界に入り込み、一緒に楽しむ視点が求められます。
■監修の本当の役割とは?
多くの人が「監修」と聞くと、
完成間近のコンテンツに赤入れをする“チェック役”を思い浮かべるかもしれません。
でも、それでは遅すぎます。
理想的な監修は、企画の“ふにゃふにゃな”段階から関わること。
「こんなことを伝えたい」という開発者の熱意に寄り添いながら、
子どもに本当に届くのかどうかを一緒に考え、
安全に、そして早く走るための「アクセル」の役割が監修なのです。

■子どもの心に届ける6つのポイント
※今回はそのうちの3つを紹介します。
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子どもの発達段階と理解力に配慮する
子どもの視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚、は大人とは違うものです。そして言語能力も外から見えていることと子どもの内部で起こっていることには違いがあります。
何をどう見て、どんなふうに受け取るのかを想像し、丁寧に設計することが重要です。
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科学的なデータを活かす
少人数でも子どもの視聴調査を行い、「本当に伝わったか?」を見える形で評価する姿勢が、信頼されるコンテンツの礎になります。
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子どもが惹きつけられる表現
子どもが好きな色、形、そして表現方法(アニメ、実写、CG、音楽、芝居…)など子どもたちの興味や関心を引き出すために子どもから見た視点をとことん想像すること。

■「プロの5歳児」として生きる
5歳児は、下の年齢の子に共感でき、大人とも会話が成立しはじめる特別な存在。
この視点で「どこでつまずくか」「どこで笑うか」「どうやって夢中になるか」を直感的に捉える力は、何より大切です。
当然、研究者としての冷静なデータを持ち合わせていますが、
同時に、自分が子どもだったときの記憶と感覚を信じること。
「5歳児ならこう言い間違えるだろう」「この言い方では伝わらないかも」
なによりも「(5歳児の)よっちゃんはこれが楽しい!(つまらない!)」という
直感が、子どもに響くコンテンツをつくる鍵なのです。
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今回は、インタビューの一部を紹介しました。
ただいま動画を鋭意編集中です。
子どものための「製品」「コンテンツ」の開発において専門家の監修が入っているケースはまだまだ一部です。
子どもの成育環境にある全ての製品やコンテンツに
確かな監修が入ることが「当たり前」となる社会を私たちは目指します。
沢井佳子先生のプロフィールはこちらからご確認ください。
動画はYouTube「日本こども成育協会チャンネル」にアップします。