お口徹底解説〈Part10-2〉 口腔の基礎知識:花粉症の薬で唾液が減ることによる症状と対策

こんにちは、歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。

前回は、花粉症の薬が口腔に与える影響と、唾液の分泌量が減ることで生じる主な症状についてお伝えしました。

お口徹底解説〈Part10-1〉 口腔の基礎知識:意外と知らない? 花粉症と口腔の関係

 

今回は、前回お伝えできなかった3つの症状についてお話します。

 

③口角炎や口内炎など粘膜の症状

粘膜を保護する作用が低下し、口角炎・口内炎や擦過傷(※)が起こりやすくなる。

※歯ブラシ・歯並びの悪い場所・硬い食べ物などで歯ぐき・ほっぺの内側

上あご・舌などが擦れて傷つくこと

 

また、痛みにより食事への影響も出る場合もある。

 

《対策》

・軟骨やワセリンなどを塗って口角や唇を保護する

・食前にぶくぶくうがいをして唾液分泌量を上げるとともに

頬の粘膜・唇・舌が動きやすいようにうがいで食事の準備運動をしておく

・刺激のある食べ物を控えビタミン類を意識して取り、硬い食材は粘膜を傷つけやすいため控えめにする

・口腔内細菌が多いと口内炎など頻発したり長引いたりするので、歯みがきを念入りにする

・歯磨き剤の刺激で唇が荒れてしまうこともあるので、痛みや沁みる・赤みがある場合は一時的に使用を控える

 

④味覚・嚥下・消化機能への影響

【味覚】

唾液と混ざることで味覚を感じますが、唾液が少ないと味を感じにくいため

濃い味付けを好むようになる。

 

《対策》

・一時的であれば問題ないですが長期間服用する時は、「旨味を利かせる」「良く噛む献立にする」などのひと工夫を

・硬い食材だと粘膜が傷つく可能性もあるので、根菜など厚手で弾力がある食材や調理にするのもおすすめ

 

【嚥下】

噛み砕いた食べ物と唾液を混ぜることで食べ物のかたまり(食塊)を作り、飲み込みやすくするが、

唾液が少ないと食塊がうまく作れず、飲み込みにくくなったりむせたりする。

 

《対策》

・水分量の多い献立やネバネバ食材を活用する

・飲み込み辛いと飲み物で流し込みたくなり、咀嚼回数が減って早食いになるのを防ぐために

調理法で水分量が多くなる方法やのど越しが良い食材を選ぶ

 

【消化機能】

良く噛んで食べ物と唾液を混ぜることで、唾液中の消化酵素が働き胃腸への負担が減るが

唾液が少なくなることで、胃腸に負担がかかる。

 

《対策》

・食前の唾液腺マッサージやぶくぶくうがいで唾液分泌量UP!

・消化の良いものや旬の食材を選び良く噛んで食べる

また、抗アレルギー薬の副作用以前に、花粉症で鼻が詰まってしまうと

鼻呼吸ができず口呼吸になります。

 

口呼吸になることで唾液分泌量が減り口の中が渇きます。

そのため唾液が口の中に行き渡らず、上記の症状や影響が強く引き起こされます。

 

私自身、花粉症の症状が酷く毎年この時期は辛い思いをしているので、

どうにか気持ちの良い春を快適に過ごせないかと、試行錯誤しています。

 

この時期はいつも以上に歯みがき・お口の運動・食事に気を配る必要がありますが

子どもの場合、症状や辛さを上手く伝えられないことも少なくないと思います。

 

花粉症の方にはなかなか辛い季節ではありますが、ご自身でもお子さんでも

何かいつもと違うな?というときは、今回お伝えしたことをぜひ思い出してください。

 

快適な桜の季節をお迎えいただけますと幸いです。
 

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宗田 香織

1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。

2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・

インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。

2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。

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