いつもブログを読んでくださっている皆さんこんにちは。
歯科衛生士・子ども成育インストラクターの宗田香織です。
以前、甘いものとむし歯の関係を説明した際に、「甘いものをたくさん食べることだけが
むし歯の原因になるのではない」ということをお伝えしました。
もちろん、甘いもの(ショ糖)はミュータンス菌(むし歯を作る菌)が大好きな栄養素です。
ミュータンス菌が餌を得ることで活発になってしまい、酸産性能が高まるため
歯を溶かして(脱灰)むし歯になります。
そのため、甘いものをたくさん食べるのはよくないのですが、
それ以上に、「ダラダラ食べをしないこと」がむし歯予防にとって
重要なポイントでした。
とは言っても、子ども・おとなに関わらず甘いものが好きな人は多いですね。
甘いものには人を惹きつけるような、何か特別感がありませんか?
実は私は、子どもの頃甘いものがあまり好きではなく、おやつで出てくるものも
お煎餅やするめなどしょっぱい物が好きでした。
そんな私でも時々無性に甘いものが食べたくなります。
そして、そういう時は体が欲している時なので罪悪感は持たずに
ゆったりとした気分で、ほどほどの量を食べます。
このように、どうして多くの人は甘いものが好きなのでしょうか?
そして、どうして好き嫌いがあるのでしょうか?
そこで今回は、甘いものが好きな理由と好き嫌いの理由についてお話します。
甘いもの好きには理由がある
①甘味嗜好
まず味覚のお話をします。
人の味覚は
・甘味
・酸味
・苦み
・塩味
・旨味
の、5つが基本の味覚(5味)です。
辛味は基本の味覚である5味には含まれず、刺激(痛み)として感じます。
この5つの基本の味の中には、生存本能のひとつとして遺伝的に好きな味もあれば
嫌いな味もあるのです。
言い換えると、生まれながらにして好き嫌いがあるということです。
こちらの理由については、『こども成育講座』の中でも詳しく説明しているのですが
「甘味はもともと人が好きな味」なのです。
ですから、甘いものを好むのはじつに自然なことなのです。
ただし、味覚形成期の乳幼児が砂糖の強い甘みに慣れてしまうと
米・芋類などの自然な甘みを感じにくくなることがあります。
また、口に入れた瞬間に甘みを感じてしまうことで
よく噛まないで食べる習慣がついてしまう場合もあります。
味は舌にあるセンサーの役割を担う味蕾(みらい)を介して感じます。
味蕾は子どもの頃は10000個程ありますが、様々な刺激が舌に加わることに
より少しずつ消失します。
大人では7000個程度、高齢になると3000個程まで消失すると言われています。
味覚形成には脳の仕組みが深く関係していて、スキャモンの発達発育曲線の
神経系(脳)の発達のピークである2~3才の時期に味覚も著しく発達し
10才頃までのさまざまな食体験を通じてその人固有の味覚が形成されます。
この味の感じ方によって出てくるのが「好き嫌い」なのです。
大人目線では、「イヤイヤ期のわがまま」「選り好みしている」と
ネガティブに映ってしまいがちですが、口腔の成長発達の一つである味覚の成長の証であり
『初めての味を味わっている証拠』『味の違いが分かっている』凄いことなのです。
味覚の強弱という点で考えると、年齢を重ねるにしたがって味蕾の消失と共に
味の感じ方は弱くなっていきます。
味覚形成の土台となる2~3才頃に濃い味に慣れてしまうと、
後から薄味にしていくことも難しくなります。
高血圧等の生活習慣病の予防のためにも、食事は乳幼児期の頃から
調味料は必要最低限にして素材本来の味を活かすような味付けが好ましいと言えます。
口に入れた瞬間または噛む前からはっきり味を感じるようなものより
何度も噛んでいくごとに5味一つひとつを感じながら、味の変化がわかると
食事の楽しみがさらに広がると思います。
次回は、甘いもの好きの2つ目の理由と「甘くて柔らかいもの」が好まれるわけをお話します。
お楽しみに!
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宗田 香織
1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。
2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・
インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。
2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。