こんにちは、歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。
今回も「熱中症対策」について、お口の観点から引き続き解説していきます。
前回は、日々の食事から水分補給をしたり、唾液の分泌によって
水分不足のアラートをキャッチする大切さについてお話しました。
お口徹底解説〈Part5-1〉 口腔の基礎知識:毎日の食事をベースに熱中症を予防しよう
この記事では、熱中症対策で便利なドリンク類の摂取の仕方の注意点や
発汗によって失われやすい栄養素について取り上げます。
糖分を多く含むドリンク類との上手な付き合い方
夏場は、水分以外にもミネラル等の栄養も不足しがちであることを前回お伝えしました。
このミネラルの中に、熱中症と関係深いカリウムやナトリウムがあります。
激しい運動をしたときや、炎天下に長時間いて大量の汗をかく場合は、
水と同様に生命維持に欠かせないミネラルも失われていくからです。
それらを補うために、ジュース・炭酸飲料水・スポーツドリンクなどに
頼る場面もあると思います。
発汗により排出されたミネラルを速やかに摂取するという意味では
こういったドリンク類は大変便利です。
ただし、いずれも「糖分を多く含む」こと、「酸性度が高い」という理由から
むし歯予防の観点で少し気をつけていただきたいポイントがあります。
熱中症対策とむし歯予防の2つを両立させるには
・日常的に飲まない
・ダラダラ飲まない
・麦茶などミネラルを多く含み、糖分やカフェインの少ない飲み物も活用する
・飲み物以外でも塩分や糖分摂取ができるようにする
(スイカやトマト+塩、梅干し、小さいおにぎりなど)
・飲んだり、食べたりしたら、ぶくぶくうがいをする
これらのポイントを意識して摂取してみてください。
甘く喉越しの良いドリンク類は、いつまでも飲みたくなってしまったり
常飲に繋がりやすくなったりします。
さらに、糖分が多く含んでいる物を「ダラダラ」と「いつも」飲む(食べる)習慣は
むし歯リスクがとても高くなります。
こうした点を踏まえながら上手に活用していただけると良いですね。
カルシウム不足にも注目
カルシウムは体内のミネラルの中で最も量が多く、人間の身体になくてはならない
重要な栄養素ですが、その反面、一年中不足しやすい栄養素でもあります。
さらに、発汗すると塩分などと一緒にカルシウムも体外に排出されてしまいます。
おおよそ1ℓの汗をかくと、約40㎎のカルシウムが失われるといわれています。
参考資料 https://www.moritayakuhin.co.jp/brand_calcium/info/column/article.php?c=62
皆さんもご存じの通り、カルシウムは歯の成長や歯を丈夫に保つといった
むし歯予防にも欠かせません。
日ごろから吸収率のいいカルシウムを積極的に摂り、暑い夏を元気にそして「健口」に乗り切りたいですね!
熱中症対策はバランスも大事
前回お伝えしたように、日頃から3食の食事で水分やいろいろな栄養素を
しっかり摂取することが熱中症対策においても重要です。
一方で、甘いドリンク類を大量に飲むことで、お腹がいっぱいになってしまい
適切な量の食事が食べられないといった影響が出ることもあります。
そのため、1日を通して熱中症対策のバランスを取ることも大切です。
また今回触れたように、歯の成長や健康に欠かせないカルシウムも
熱中症との関係が深いのです。
日頃の食事でカルシウムも含め熱中症対策に必要な栄養を十分摂取するには
どんな食事をしたら良いか?などについて、次回、管理栄養士の隅弘子さんからも
具体的にお伝えしていきます。
宗田 香織
1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。
2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・
インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。
2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。