こんにちは、歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。
日に日に春めいてきましたが、私は花粉症シーズン真っ最中です。
皆さんはいかがお過ごしですか?
前回は、子どもの口腔機能の低下(ロコモティブシンドローム)についてお話ししました。
そこで今回は、口腔機能のひとつ『咀嚼嚥下』についてお話ししたいと思います。
これは食べる行動、つまり『咀嚼(そしゃく:噛む)嚥下(えんげ:飲み込む)』行動ですが、
実際にはどんな動きをしてきるかご存知ですか?
まずは、咀嚼(噛む)と嚥下(飲み込む)について説明します。
食べる動作は、イメージ以上に緻密で複雑
咀嚼(そしゃく)
口の中に取り込んだ食べ物を歯で噛み砕き、口腔周囲筋(唇、頬、舌)の強調動作により
唾液と混ぜ食塊(食べ物のかたまり)を作る
嚥下(えんげ)
咀嚼により作った食塊を、舌を使って食道から胃へ送り込む
食べる動作について、食べ物をたくさん噛んでバラバラにし
そのまま飲み込むイメージをされる方も多いと思います。
けれど、実際の動きはもっと複雑です。
「食べ物を歯で噛んで細かくし唾液と混ぜて食塊を作り、唇舌頬を柔軟に動かして
食道→胃へ送り込む」という実に器用に緻密な動きなのです。
ミルクなどの液体を飲む行動は本能的
咀嚼嚥下は、「おけいこ」を繰り返すことで獲得していく
この食べる動作=咀嚼嚥下は生まれてすぐにはできません。
母乳やミルクの液体を飲む行動から始まり、離乳食で食べる練習(おけいこ)を
繰り返し行うことで獲得していくのです。
また、離乳食が完了し乳児が全部生え揃ったからと言って、大人と全く同じものが
食べられるわけではなく、永久歯が生え揃うまでは食べるおけいこが続きます。
母乳や人工乳から栄養摂取している乳児期の摂食行動は、液体を飲む行動だけの
「乳児嚥下」と言われます。
これはおっぱいや哺乳瓶の吸口をしっかり咥え、液体を絞り出し流し込むだけの動きで
成人嚥下とは動作が異なります。
この乳児嚥下から離乳食の食べるおけいこで、液体から固形物への栄養摂取に
変化するだけではなく、いろいろな食感や味覚を体験(食経験)します。
そして、だんだんと食べられるものを増やすことで、咀嚼嚥下機能と消化機能を
発達させていくのです。
乳児嚥下(おっぱいを飲む)は本能的に生まれてすぐできることですが
成人嚥下(様々な食べ物を食べる)は学習し獲得していくものなのです。
次回は、咀嚼嚥下の機能を発達させるうえで大切になるポイントをご紹介します。
宗田 香織
1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。
2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・
インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。
2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。