こんにちは、歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。
「お口徹底解説」連載の最後は、ご家庭でできる「噛む」練習法を
ご紹介していきたいと思います。
発達途中の乳歯列期や永久歯との混合期には調理の工夫も
子どもの口は、パワーの面でも巧緻性においても、あるいは離乳食を完了した、
永久歯に生え代わったと言っても大人と同等の機能は持ち合わせていません。
こうした口の発達状況を考えると、食材の選択や調理の工夫が欠かせません。
永久歯列完成までは、大人の食事が出来るまでの練習期間として
少し長い目でサポートしていただければと思います。
そこで大切なのは、子ども(人)は発達段階において『三項関係』という
関わり方を通して物事を学び獲得していくということです。
他者と一緒に同じ対象物を観て、感じて体験するなかで多様な学びが促されます。
ママやパパをはじめとした周りの大人が子どもと一緒に
・美味しそうに食卓を囲むこと
・食事の際、いま食べている食べ物の事(旬や種類)を話題にしてみる
・食事以外の時間でも普段の会話で食にまつわる話しをする
といったことを心がけてみてください。
少し年齢が上がったお子さんであれば、憧れている著名人やスポーツ選手などの話題から
食事と元気で勉強やスポーツに集中できる体づくりを話題にするとよいですね。
お子さんが食事に興味を持ったり、いま食べられなくてもいつか食べてみようかなと
前向きに捉えられることが大切です。
まずは、大人が楽しんだりお手本を見せることが、子どもの成長発達の第一歩であり
そうした積み重ねが子どもの成長発達に繋がるということを心に留めて
お子さんを見守ってほしいと思います。
どうしてよく噛まないといけないのか?よく噛める方法は?
お子さんに『どうしてよく噛まなくちゃいけないの?』と質問されたら
皆さんはどう答えますか?
『よく噛まないといけないのはわかっているけど、早食いなんですよね』
これも歯科クリニックなどでよくいただく質問や相談です。
私は、子どもに聞かれた時には
よく噛むと…
・素敵なお顔になるんだよ
・頭がよくなるんだって
・歯(歯並び)もきれいになるんだよ
・お口が気持ちよくていい匂いになるんだよ
・◯◯(食べ物)がもっと美味しくなるの
・シャキシャキ、パリパリ、もちもち、つるつる、とろとろ…
いろんな音や触りごこちがして楽しいから
・お腹痛くならないんだよ
・よいうんちが出て体がスッキリするんだよ
・栄養がしっかり体に入ってくれるから元気が出るんだよ
などと、お答えしています。
そして、よく噛める方法は、休日など大人の時間や気持に余裕があるときは
先にお伝えしたような会話をしながら食事をしてみましょう。
特別なことをしなくても、目の前にある食べ物をよく観察して
じっくり味わって食べることが、「早食い」や、テレビやスマホを見ながらの
「ながら食い」などを防いで、よく噛んで食べることに繋がります。
実際に顎を縦横無尽に動かすポイントは
・一秒に一回くらいのリズム噛む
・牛や馬など草食動物のモグモグ草を食んでいる様子を思い浮かべて
真似をして顎を動かす
※動物園や牧場などで観察したことがないお子さんでしたら
動画で見せたり、大人が見本を見せてあげましょう
といったことをお伝えしています。
それぞれのご家庭やお子さんの成長過程によっても状況は様々だと思いますが
ママやパパ、子どもを見守る大人の負担が軽減したり、何かヒントになることがひとつでもあれば嬉しいです。
今後も口腔の知識や機能について、いろいろな観点からお伝えしていきますね!
宗田 香織
1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。
2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・
インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。
2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。