一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
今年は新年度を前に、子どもの事故に関する痛ましいニュースを多く耳にしました。
高層階からの転落、川に流されるなどの事故です。
子どもの行動は大人の想像を超えるということは何度も伝えられるにも関わらず
このような悲しい事故が起きるのも事実です。
また、先日も愛媛県の保育所で「リンゴ」による窒息の事故が起きました。
そこで今回は、2回に亘って子どもの安全について、食卓で気をつけたいことを
お伝えします。
給食時間などでも細心の注意をはらいながら保育活動をされていることと思いますが
今一度確認のうえでもお読みいただけますと幸いです。
食に関連した年齢別にみる死亡事故の状況
消費者庁のデータ(※1)によると、
平成28年~令和2年の5年間では窒息、交通事故、不慮の溺水が死因の上位
①「窒息」は、0歳で圧倒的に多く発生(ベッド内での不慮の窒息及び絞首 等)
②「交通事故」は、2歳以上で全て1位
③「溺水」は、1歳、3歳以上で2位。また、 3歳、5歳以上で自然水域での事故が上位
④「建物からの転落」は、3歳、4歳と10~14歳が多い
とあります。
0歳児の窒息については、表にあるようにベッド内をはじめ、胃内容物の誤えん、
食物の誤えんなどがあげられています。
離乳食を口にする時期ですが、実際にベビーフードをあげている際にも
窒息事故は起こっていることを保護者に伝えると驚かれることも多いです。
※1 平成30年版消費者白書 第1部 第2章 【特集】子どもの事故防止に向けてより
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2018_whitepaper_0003.pdf
楽しい食卓から一転する瞬間や環境
年齢・月齢が大きくなるにつれ、食べられるものが増え、食べる固さや大きさも変わり、
「誰かに食べさせてもらう」から
「一人で食べる練習を経て、一人前に食べることができる」
と乳幼児の食に関する成長や発達は目覚ましいものです。
そんな毎日の「食べる」という時間に、食べ物がつまって怖い思いをした
という経験をしてしまうと、食べられていたものでも次は食べたくないと
思うこともあるでしょう。
また「早く食べなさい!」「遅い!」と急かしながらお口の中に頬張らせたり、
大きな一口で食べさせることは、窒息の原因となります。
これらのことは好き嫌いや偏食の理由となる「食物嫌悪学習」のきっかけに
なりやすいです。
「一口はこのくらいがおいしく食べられるよ」
「お口をこうやって動かすと食べやすいよ」
など具体的な行動を声がけに変換しながら指導をしたいものです。
余裕がないとつい、感情的になりやすい部分ではありますが
意識するだけでも変わってくるでしょう。
「子どもにとって嫌な経験」は食行動が変わるきっかけともなります。
心と身体が安全な環境のもとで「食べる」ことが大切です。
次回へ続く。
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。