一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
カゴメ株式会社開発のベジ・キッズ『考える力』プログラム五感でいのちの不思議をまなぶ野菜栽培キット(以降ベジ・キッズプログラム)を活用した野菜の栽培と、食育をより結びつけた園の事例紹介の連載。
前回に引き続き、「アストロキャンプ稲毛東保育園」様の様子をご紹介いたします。
カゴメ栽培活動×食育 実施園見学レポート 毎日観察できる環境でたべものへの興味が高まる保育園 〜アストロキャンプ稲毛東保育園様(千葉県)〜〈前編〉
栽培キットについてくる「栽培カレンダー」と照らし合わせて栽培を進めていくと、3か月ほどで収穫の時を迎えます。
収穫の時は、子どもたちも、スタッフの皆さんも大変盛り上がったそうです。
たくさん実ったトマトを収穫したときには、すぐに調理スタッフに手渡され、誤飲がないように配慮して1/4にカットしたものを食べたそうです。
自分たちでお世話をして、ついに収穫したトマトを、すぐに口にする喜びは格別だったはず。
トマトをより好きになる機会につながったことでしょう。
収穫する楽しみと食べる楽しみが同時に味わえる
保育現場では、トマトの栽培をするにあたって「誤飲」を懸念されることもあります。
このプログラムで提供しているトマトの品種は、お弁当やサラダなどで用いられるミニトマトよりサイズが少し大きめの中玉トマトになっています。
また、園で栽培することを考慮して、誤って栽培中に口にいれ、窒息する恐れを回避するために、栽培中の果実に装着する誤飲防止ネットが同梱されています。
ネットをつけることで、子どもたちへ視覚的にも注意喚起をすることができます。
一方パプリカは、緑色からオレンジの色に変化!
こちらは収穫したものを材料にピザ作りを楽しまれたそうです。
園での取り組みを発信することで、家庭でもたべものが話題にあがるように
「イベント型の突発的な食育とならないように、日々の保育と食のつながりから生まれる関心・疑問を食育活動に連鎖できるよう配慮する」という言葉が、「アストロキャンプ」様の食育保育計画に、保育士の姿勢として記されていました。
園内にはこのベジ・キッズプログラムの他、小さなプランターなどによる栽培活動がいくつかあり、さまざまな当番やお世話係がありました。
育てている作物の旬を追いながら、「いのち」の不思議に触れることが普通となっているからこそ、わざわざ「食育」や「いのちのまなび」と言わなくても、子どもたちは「園での日常」のなかで、楽しみながら学んでいることがよくわかりました。
こうした園での取り組みを保護者の方にも随時発信していったとのこと。
ご家庭でも「栽培の様子」が話題にあがることで、子どもたちにとっては、ますます栽培に関心が向いたことと思います。
毎日のお世話と観察+ツールの活用で「まなび」が深まる
日頃の遊びの中でもベジ・キッズプログラムについている「すごろく」も大人気だったそうです。
育て方や観察の視点について気づけるマス目や、ちょっと失敗してマスが戻る設定などもあり、子どもたちは、楽しく遊びながら、お水をあげよう、芽かきをしよう、といった栽培方法やお世話のステップを知っていく機会になったようでした。
今回の訪問で、原田園長先生からいろいろお話をお伺いして、日々の園での生活の中で、子どもたちが自ら楽しみながら「植物が育つ不思議」「お世話をする大切さ」「育てたものを食べる経験」を重ねていることがわかりました。
保育所における食育に関する指針にある「5つの子ども像(※)」がありますが、園や家庭での生活の中で、自然に実現していくことが望ましいと感じました。
※5つの子ども像
①おなかがすくリズムの持てる子ども ②食べたい物、好きな物が増える子ども ③一緒に食べたい人がいる子ども ④食事作り、準備にかかわる子ども ⑤食べ物を話題にする子ども
次々に実るトマトやパプリカは、「子どもたちが頑張ったことを」を反映する証にもなりますね。
この先にも食べ物が育つ様子に関心をもつ心を大事に成長してもらいたいと感じました。
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ベジ・キッズ『考える力』プログラム「五感でいのちの不思議をまなぶ野菜栽培キット」について
詳しくは下記をご覧ください。
商品サイト:
https://www.kagome.co.jp/company/kangaeru-chikara/
販売サイト:
http://patata-shop.jp/?mode=f3
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。