こんにちは。「こども成育講座〈食専科〉」ディレクターの隅弘子です。
10月となりました。10月と聞くとなぜか毎年師走と聞くと同じくらい
焦る季節と感じてしまう隅です。
季節は日々変わりつつありますが、先月に続き、「非常時に備える」をテーマに
今回は「パッククッキング」をご紹介します。
ライフラインが途絶えることは自然災害以外にも・・・
先日、静岡県内にて断水が発生し、数日間水が自由に使えない日々が続きました。
長時間続く大雨が大きな原因の一つでしたが、自然災害以外にも突然一時的に
ライフラインが途絶える事態が起こる場合もあります。
また、園児への給食の準備中に突如支障をきたすことがないとも限りません。
そこで、少しでも食事に近づける方法として「パッククッキング」が活用できそうです。
これは、日常の食事でも活用でき、親子で一緒にする保育参観などにも活用できます。
パッククッキングとは?
農林水産省のホームページ(※1)によると、パッククッキングとは
耐熱性のポリ袋(※)に食材を入れ、袋のまま鍋で湯せんする調理方法です。
普段の食品が使えること、加熱に使った水が汚れないので再利用できること、
袋に入れたまま食器によそえば食器が汚れない、などのメリットがあります。
工程がシンプルで調理が簡単な上、袋ごとに違う料理を一度に作れるので、
時短テクニックとして普段からも役立ちます。
※耐熱性のポリ袋をご使用ください。
とあります。
厚生労働省では、乳幼児の備えとしてのサイトもあります。
この中では実際にさつまいものお粥やツナ缶をつかったサラダなども
紹介されていましたので調理実習などの参考にしてみてください。
画像:要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド(平成31年3月)
乳幼児の備え(ガイド抜粋)より(※2)
災害以外にも親子で楽しむクッキングや食べ物に興味をもたせる機会にも
お子さんと一緒にクッキングした後の片付けがとても楽であるというのは
パッククッキングの魅力的なところです。
また、蒸しパンなどはおやつ作りのレシピとしても楽しいです。
幼児期は、咀嚼力を大人と同じくくらいに高めるためのお稽古中の時期です。
なかでもお肉、とくに薄切り肉などは噛みちぎる・噛み切る力が弱いことなどから、
食べることを苦手とするお子さんも多い時期。
お肉を食べさせるにはどうしたらいいかという相談を受けることもあります。
そこで、お肉の仲間ということで、ポリ袋の中に挽肉をベースに、
そのほかの材料を加えたソーセージ作りなどを行ってみてはいかがでしょうか?
手作りソーセージをパンに挟んだり、切って食べたりと楽しみが広がりそうです。
ただし、食中毒や消化不良を起こさないためにも、中心温度まで
しっかり加熱できているかを確認する工程は、ぜひ大人の方が行ってください。
形などはいつもの給食のようにきれいに盛り付けられないかもしれませんが、
「食べられる幸せ・安心感」「一緒に作ることでより食べ物に関心・興味は湧く」
「一緒につくったことが楽しい記憶となる」などパッククッキングをキーワードに
食育活動もたくさん展開できそうです。
毎日食べている給食に感謝の心を
お昼になれば、個々に盛り付けられたおいしい給食が食べられるのは、
たくさんの人や環境が備わっているからこその習慣です。
これは、まだ小さい子どもには難しいかもしれませんが、毎日の感謝の言葉を
言っている相手は誰だろう?と一緒に考えてみる機会になりそうです。
たまには、お水さんにありがとう。火にありがとう。
そして作ってくれる人にありがとうと声に出してみるにも大切なことですね。
※1: 時短にも非常時にも!パッククッキング(厚生労働省HPより)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/imadoki/imadoki01.html
※2: 要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド(平成31年3月)
乳幼児の備え(ガイド抜粋)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/need_consideration_stockguide-9-12.pdf
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。