アレルギー表示の義務や推奨の食品の変化に対応した給食を

こんにちは。「こども成育講座〈食専科〉」ディレクターの隅弘子です。

新年度がはじまりましたが、慣らし保育後もゴールデンウィークなどがあり、

リズムを作り直すご家庭も多そうな5月。

 

保育の現場にいる先生方の「大丈夫ですよ」という言葉に救われながら

保護者の方々も過ごしていらっしゃると思います。

 

保育園生活のリズムはお散歩やお昼寝の時間、給食など

「日々の小さな行事」の積み重ねです。

 

今回は、その中でも給食に関わる「食材」に着目してみたいと思います。

 

卵・乳・小麦だった3大アレルゲンが変わってきている?

食物アレルギーといえば、「卵・乳・小麦」という認識が多いと思います。

 

しかしながら、2020年の調査では、アレルギーを発症した食材の

第3位に「木の実類」が入っています。

 

「3大アレルゲンといえば」という食の認識が

変わりつつあることが発表されました。

 

食べて1時間以内に症状が出た即時型食物アレルギーを

新たに発症したケースをみると、原因の1位は鶏卵(33・4%)、

2位は牛乳(18・6%)で例年と同じだったが、

3位は木の実類(13・5%)で、4位の小麦(8・8%)を抜いた。

豆類のピーナツは5位(6・1%)だった。※

 

 

木の実というのは名前の通り、木になる実を指します。

 

ピーナッツ(落花生)は、木になるものではないので含みません。

 

調査結果である13.5%のなかでは、「くるみ」が多いと

記事にもありました。

 

みなさんは、くるみなどの木の実類をよく召し上がりますか?

 

くるみは栄養価がとても高い食品。

 

健康効果の広がりとともに食べる機会が増えています。

 

とくに妊娠期の栄養に欠かせないn-3系脂肪酸は青魚以外にも

くるみを活用することは私もおすすめすることがあります。

 

また、米粉パンなどを作る際の材料としても、アーモンドプードルなどが

使われることがあります。

 

このように食べる機会が意外と増えていますが、その一方で

アレルギーを発症件数が増えていることも知っておくと良いでしょう。

 

栄養価の高い食品ではあるけれど・・・

2019年に食物アレルギー推奨項目として、アーモンドが追加されました。

 

くるみ和えやピーナッツ和えという献立を提供されている園もありました。

 

集団で食べる環境においては、より「安全に提供する環境の優先」を大事にして、

栄養よりも安全に配慮した給食の提供が求められるのではと思います。

 

食物アレルギーとは別の視点ですが、食品の窒息事故防止の重要性は

以前のブログでも書かせていただいたかと思います。

 

楽しい食を囲む年末年始を楽しむために

―食品による窒息事故を防ぐために知っておきたいこと

 

 

誰もが楽しくおいしい給食の機会をすすめるために

保育園では入園前の事前調査や面談で、食物アレルギーの有無や

現在のお食事状況などを把握されていらっしゃると思います。

 

即時型アレルギーの場合、乳児期に発症しなくても

幼児期にはじめて発症(初発)する場合もあります。

 

お預かりしているお子さんは、在園中に体もどんどん成長・発達するため

卵アレルギーだったお子さんも少しずつ食べられるようになり

除去食の解除と変わることもあるでしょう。

 

その反面、新たにアレルギーとなるお子さんもいらっしゃいます。

 

定期的に食物アレルギー生活指導管理表を提出していただくことも

安全な給食提供には必要な管理なのではないかと思います。

 

ご家庭での食事や食材の進め方についても、情報交換できるツールを用意したり

コミュニケーションを図ることが大切です。

 

新年度がはじまり落ち着いたこの時期に、アレルギーや窒息事故防止にむけた

献立の見直しやチェックを定期的に検討する機会を設けていただき、

給食をはじめ保育園生活が楽しめる土台を整えていきましょう。

 

※引用

クルミアレルギーが急増 原因食物「木の実類」が「小麦」超え3位に

https://www.asahi.com/articles/ASQ4W3HG6Q4LUTFL016.html

 

 

隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士

【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。

都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。

子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。

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