社会における女性の生きにくさ―『82年生まれ、キム・ジヨン』を観て

こんにちは。日本こども成育協会の「中の人」です。

「中の人」として協会の仕事に携わり、早3年となりました。

 

仕事を通じ、沢井佳子先生をはじめ、こどもを育む数多くのかけがえのない

知見に触れるというとても貴重な機会をいただいてきました。

 

今月より「中の人」ブログとして、日々の気づきを皆さまとシェアして

まいりたいと思います。

 

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先日、韓国の映画『82年生まれ、キム・ジヨン』を観ました。

 

この作品は、2016年に韓国で大ベストラーとなり、日本でも話題となった

チョ・ナムジョさんの小説を映画化したものです。

 

2歳2か月の女の子を子育て中の専業主婦ジヨンが、他人が憑依したような

言動をとるという精神的な病を患い、その暗闇から光を再度見出していく物語です。

 

鑑賞前は、韓国でも人気の高い俳優が夫役であったことから

夫婦愛による再生を描いた、いわゆる感動的な「愛のストーリー」が

展開されるだろうと予想をしていました。

 

もちろん、夫婦愛を描くシーンはありましたが、それよりも重きを置かれ、

丁寧に描かれていたのが「なぜ、ジヨンがそうなってしまったのか」という

彼女の子ども時代、さらには彼女の母親の若かりし頃の生き様でした。

 

この作品には、いわゆる「悪人」は出てきません。

 

それぞれの登場人物が、それぞれに良かれと思うこと、常識的であることを

相手に望んでいるだけです。

 

しかしながら、その「良かれと思うこと」「常識」こそが、ジヨンを苦しめ、

暗闇へと閉じ込めていきます。

 

韓国と日本の文化的や社会的な背景は異なる部分もありますが、本作が

日本でも多くの女性からの共感を得たのは、「社会における女性の生きにくさ」が

主なテーマであり、同じような状況があるからでしょう。

 

その「生きにくさ」とは、女性の位置づけの低さや性的な差別といった社会の

仕組みそのもの、そしてそこから知らぬ間に刷り込まれてしまっている

「よかれと思うこと」「常識」です。

 

以前、育児中のお母さん方にグループインタビューをした際にも

こうした「生きにくさ」の話題を多く耳にすることがありました。

 

さらに、子育てを取り巻く環境では、多くの「よかれと思うこと」「常識」があり

インターネットが主体となった現代は、「玉石混淆の情報の洪水や流行り廃れ」

といったことも存在します。

 

「社会における女性の生きにくさ」をすべて解決できるような魔法は

残念ながら存在しませんが、その生きにくさを少しでも和らげる一端を

担うことができないだろうか。

 

そうした想いから、日本こども成育協会では発達心理学という、

『本質』『確かな知識』をベースにしたコンテンツを制作し、発信を続けています。

 

映画の最後では、自分の想いを言葉として相手に勇気をもって伝え、

また世に投げかけることで再生の光を見出していくジヨンの姿が描かれています。

 

同じように、私たちも多くの「ジヨン」たちに情報が届けられるよう

活動を続けていきたいという思いを新たにいたしました。

 

 

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