「手づかみ食べ」をママと一緒に喜べるようになるために

日本こども成育協会が、発達心理学をベースに講座を開発した背景のひとつに、「発達心理学を学んだ専門職の方々が現場で生かしきれていない」ということがあります。


学問の知識が現場で生かせる知識になっていないのです。


例えば、離乳食期のお子さんを持つママの悩みのTOP3に入る「手づかみ食べ」。それは、大人から食事を与えられている状態から、一人で食べられるようになるまでの発達のステップの一段階です。

0~2歳の時期は、こどもの認知発達習得のプロセスでは「感覚運動期」と呼ばれています。発達心理学を学ばれた方なら、一度は聞いたことのある言葉ですね。

「感覚運動期」は、「動いて、さわって、体験し、わかるようになる」時期。

では、「感覚運動期」にあるこどもが、「手づかみ食べ」ができるようになる順序を発達心理学の見地から見てみましょう。

①  目で食べ物を追うことができる(追視)
②  その食べ物へ向けて、手をさしのべることができる
③  食べ物のある位置との距離を測ることができ、手で触ることができる
④  触った物をつかみ、その手を口元まで運ぶことができる
⑤  口元にきた食べ物を見て、口をその食べ物が入る大きさに口をあけることができる

といった、いくつもの「できる」が積み重なった結果なのです。

現象だけで見ると、「食卓を汚されて後片付けが大変」「食べ物をおもちゃにして困る」など、ママのイライラの素になりがちな「手づかみ食べ」ですが、発達心理学からすれば、すばらしい発達の証! むしろ喜ばしいことなのです。

日々、育児に格闘しているママたちと接する専門職の皆さんが、こうした知見を持ってアドバイスができれば、ママのイライラを少しでも減らすことができますし、共にお子さんの成長を喜べるようにもなります。

それこそが、「こども成育インストラクター講座」の狙いであり、こども成育インストラクターに担っていただく使命だと考えています。