4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。
児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。
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この連載において、前半では子どもの発達と食行動の観点より、とくに「大好きな人(保育士・養育者・お友達)」と「自分」と“一緒に”前向きな気持ちで食べる環境づくりの重要さをお伝えしてきました。後半はご家庭で実践するためのアドバイスを中心にステップアップいたします。保育所等から保護者へ伝えていただきたい内容をお伝えします。
≪前半≫げんきをつくる食卓 保護者支援のために-なぜ5歳までの食事が大切なのか? -幼児期に育みたい食習慣と食事の軸を考える①
◆その方法、続けられますか? 「何を食べるか」ばかり気にしていませんか?
食についての考え方は、SNSの発達につれ、常に情報が溢れかえっています。それらの情報をふまえた上で「〇〇しなくては」「〇〇はだめ」「1日に〇〇g食べさせないと」と毎日の献立を考えるだけでもプレッシャーを感じてしまいませんか?
そんな理想的な情報や知識を知り得ても、「本当は…」「〇〇食べたいけど我慢かな」と素直に取り組めないジレンマを感じることもあるのではないでしょうか?
最近、このように、食に関する「理想」と「現実」のギャップに悩むお母さん方からの食事相談が多く見受けられます。
どんなに「子どものためにいい!」「健康にいい!」とわかっていても、「始められない・続けられない」のでは意味がありません。むしろその情報量の多さが「本来の食卓のあり方・楽しみ方」を遮り、ご家族の食事にとっての大事な軸が見失われているように思います。本当に必要なことは、「習慣にできること=食卓の考え方の軸」ではないでしょうか?
食品の価格高騰や野菜の季節的な価格変動、また食物アレルギーなどをとりまく様々な情報に左右されず、すぐに習慣にできることから始めてみませんか?
◆基本的な食習慣のポイントは「どう食べるか」
離乳食期はそれぞれステップがあり、関連本も数が多く、ある程度その手順に従って進めることが出来ますが、幼児期となると圧倒的に書籍数も減り、学ぶ機会も減ってしまうのが現状です。それぞれの家庭の食生活の様子が反映されるこの時期に、共通して取組んで欲しいのは「食習慣の形成」です。そこで家庭で「食の指針=食習慣」としたい項目をあげてみます。
【幼児期に育む食習慣】
① 決まった場所で座ってたべる
② 時間がかかってもよくかんでたべる
③ みんなで楽しくたべる
① 「食事をするという場所が食卓である」という意識を子どもが自然にもてるようにしましょう。決まった時間に食べるという経験は、身体のリズムを整えるというメリットにもつながりますね。「〇時くらいになるとお腹がすく➡食卓につくとお腹が満たされる」といった流れは適切な食事量(食べたい量)を生み出すことにもつながります。
② 幼児食のステージに入っても離乳食期のように「やわらかめ」に調理したものを食べる機会が続いていませんか?
3歳頃までに乳歯列は完成すると言われますが、この時期はしっかり噛んであごを鍛えることも大事な食事の役割です。噛むことで唾液がたくさん文ピルできる機能が高まれば、おいしさを感じる機会も増え、消化吸収能力が高まり、食べたものからよりげんきをもらうことができるのです。
※より詳しい内容は別号にて「噛む」に焦点をあててお伝えします。
③ 忙しくてもまずは1日1回でも家族一緒に食卓を囲んでみませんか? 食卓に並んだメニューについて「味はどうか?」「食感はどうか?」と会話してみましょう。食卓は親子の愛着形成の場としてもとても有効です。以前にも触れましたが、見本を見せなくてはいけない大人が「楽しく食べることができない」、大人と一緒においしく食べている経験が少ないお子さんが増えている気がしてなりません。周りの大人自体が、子どもの「げんき形成」のブレーキになってはならないと考えます。
子どもの前で、理想的な食事はできていますか?
**子どもに食べさせたい健康的な理想の食事とは?****************
理想の形にとらわれすぎて日々の子育ての負担になっていませんでしたか?
「実践できていないのなら意味がないのと同じ」この機会に実践できる方法を一緒に考えてみませんか?
次号からは掘りさげて解説していきます。
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