げんきをつくる食卓 保護者支援のために-「好きになっちゃった!」を生み出す食べ物体験を一緒に!【実践編】①

4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。


児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育


インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。


前回は「偏食・好き嫌い」が起こる理由について、味覚、口腔機能の発達を考えた「知識編」としてご紹介しました。今回は、日々の食事をはじめ生活の中で克服するための「コツ」を「実践編」としてご紹介していきます。


キーワードは「食卓は親子の愛着形成の場」です。


野菜を食べてくれない
おいしく作ったはずなのに食べてくれない
前は食べたのに急に食べなくなった
バナナやお菓子は食べるのに・・・

◆どうして「嫌い」なのかな? ―いやいやになりやすい3つのこと

先月の知識編でも触れた内容もありますが、「嫌い」を認識するためには嫌いになりゃすい味(経験を重ねて食べられるようになる)以外にも(2)、(3)を経験、もしくは一緒に経験したことで決まるといわれています。

「嫌い」と認識しやすい3つの経験・体験
(1)もともと嫌いになりやすい味:苦味・酸味で口の中が不快になる
(2)食べたことがないもの:新規性恐怖からの「食わず嫌い」
(3)いやな経験を伴ったとき

(1)は先月号でもお伝えした通り、こどもの味覚と大人の味覚が異なるという点。そして、(2)は「食べてみたいけど…食べたくない、食べるのが怖い」といった心の中でのジレンマが、「嫌い」になっていく「食物嫌悪学習」といわれるガルシアの研究で示されています。

食物嫌悪学習とは…
ある食べものを口にした後に嘔吐、吐き気、腹痛などの症状を感じると、たった一度の出来事であっても、その記憶が長くとどめられることで、その食べものに嫌悪感、つまり「嫌い」と感じるようになること

これは命を守る防御反応の一つと捉えることも出来ます。けれど、「今までは食べてくれていたのにある日突然、食べなくなった」ということはありませんか?

乳幼児期の食事では、「食べムラ」が起こるということもありますが、味以外の要素で「たった1回」の(いやと感じた)学習が「嫌い」の要因になることもあるのです。ママにとってはささいなことであったかもしれませんが、こどもにとっては恐怖され感じるような経験だったというケースもあります。

 

◆もしかしたら大人が「嫌いの定着」の手助けをしてしまっているケースも!

 

(3)のいやな経験を伴った時とは、実は大人が後押ししてしまうこともあります。「食べてほしい」というママの思いが強いがゆえに、食卓での一言が災いとなってしまうケースです。ふと口に出してしまったセリフ、みなさんも経験ありませんか? このようなセリフ時の表情は鬼の形相だとしたら…さらに恐怖倍増の経験が「嫌いの定着」を生むのです。

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