先週の日曜日、げんき食サポーター講座パート2「こどもの食事に一膳一菜がいい理由」を開催しました。
今回は、いつもの協会セミナールームを飛び出して、茅場町にある女性専用のコワーキングスペース『Bright One』さんのセミナースペースをお借りしました。
こちらは社会復帰したいママたちの支援も事業の一つとされており、こども連れでも働けるような「こどもの遊びスペース」が完備されています。
そのため今回のセミナーはお子様連れ可としたので、複数の親子が参加してくれました。
その中にいた1歳の女の子。
お母様に促されて、こどもの遊びスペースにやってきたものの、最初は棒立ちのまま。
遊びスペースのスタッフが話しかけるも、微動だにしません。
お母様は講義を聞きに女の子の元を離れましたが、女の子は泣くわけでもありません。
他のお友だちがスタッフと楽しそうに遊んでいるのをじっと観察しています。
様子を伺いながら、スタッフも徐々に彼女との距離を縮めていきました。
30分ほど経過したころ、ようやく「ここは安心して遊べる場所、安心できる人たち」と認識したのでしょうか。
スタッフの叩く太鼓やままごとセットに反応をしはじめ、やがて一緒に遊びはじめたのです。
講座の最後には、親子で一緒に「もぐもぐエクササイズ」をやります。
白いごはんだけのおむすびと、カボチャととろみをつけた豚肉、甘酒で口当たりをやさしくした、お子様の飲みやすさを考慮したレシピのお味噌汁を試食していただくのです。
事前のアンケートによると、女の子のお母様の最近のお悩みは「突然白ごはんを食べなくなった」とのことでした。
けれど、「食べてくれないかもしれない」というおとなたちの心配をよそに、女の子はおむすびをモグモグと頬張り、お味噌汁をグビグビと飲みはじめたのです。
これには、当のお母さまもビックリされたようです。
なぜ、食べなくなったという白ごはんのおむすびを食べたのでしょうか。
いろいろな理由が考えられます。
・楽しく遊んだあとでお母さまの元に戻り、安心した。
・遊んでくれたスタッフや他のお友だちが一緒に美味しそうに食べていた。
・食べやすい小さなおむすびだった。
・お腹が空いていた。
ほかにも、そのお子さまなりの理由があるのかもしれません。
私たち日本こども成育協会では、こうした「こどもを観察する」ために必要な知識やスキルを、周囲のおとなたちが習得していくことを目的の一つとしています。
協会の理事であり、「こども成育インストラクター〈食専科〉」の総合監修をされている子どもの認知発達のスペシャリスト 静岡大学情報学部客員教授の沢井佳子先生のお話の中にも次のような言葉があります。
“1歳から1歳半のころは、自分ではまだ気持ちや考えを言葉にして表現することはできないけれど、理解度はものすごく進んでいますよ”
こどもたちは、ちゃんと周囲の状況を理解し、自分なりの考えや気持ちを持って行動しているのです。
ですからおとなは、例えば「食べない」からと頭ごなしに叱ったり、心配したりせず、そうした言葉としては表現されていないこどもの「考えや思い」といったものを、観察というスキルによってくみ取っていくことが大切なのではないでしょうか。
8月29日(木)から「こども成育インストラクター〈食専科〉」第7期が開講いたします。
こうしたこどもの観察スキルを身につけたいという方に、ぜひご参加いただければ幸いです。