寝付きと寝起きがよくなる「げんき食」の実践③

「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、昨年4月号より今年3月号まで1年間連載をしておりました。

児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開しております。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。

************************

寝付きと寝起きがよくなる「げんき食」の実践①

寝付きと寝起きがよくなる「げんき食」の実践②

 

◆愛着形成を育む食卓は心地良い眠りに誘う心を作る

親・子・モノを介した三項関係は、食卓において愛着形成を育む場所であるということをこれまでもお伝えしてきました。

また、その会話と実践に「もぐもぐエクササイズ」を取り入れることが効果的ともお伝えしてきました。

「もぐもぐする」といった咀嚼能力は、乳幼児期に練習を重ねて身につけさせたい食習慣ですが、育てる側である現代の大人にとってもとても必要な習慣です。

 

「一口30回噛もう」という標語も知識として知っているだけではなく、実践できているかがより重要でしたね。

実践された方にぜひ聞いていただきたいことがあります。

それは、食事中の気持ちのありかたです。噛めばかむほど気持ちに余裕が生まれやすいのです。

「咀嚼」という行動の習慣化は、食卓の中でリラックスを生む大切な習慣ととらえることができます。

メトロノームのように一定のリズムで行われるお口の運動が咀嚼です。

この一定のリズムをもった行動を続けることで副交感神経が優位に働きます。

イライラしている気分の時は交感神経が優位でまさに戦闘態勢。

子どもの食事を見守るどころか「こぼさず食べられているか」「好き嫌いなく食べられているか」などまさに監視しているような気持ちでお子さんを見てしまいがちです。

 

ほとんどのお母さんは、なるべく怒りたくないと思いながら、つい怒ってしまうと感じていらっしゃるはずです。

穏やかな気持ちで食卓を囲みたいと思うのでしたら、まずはお母さんが一口ご飯を口に頬張ってもぐもぐエクササイズを実践してみてください。

口にものが入っていれば、自然とあれこれ口出しすることが防げるとともに、冷静にその場を見ることができます。

 

*もぐもぐエクササイズができる食事になっていますか?

>>>確認してみましょう

□ 主食の頻度がパン・麺>ご飯になっていないか

□ ご飯におかずをのせた食べ方になっていないか(丼など)

□ 体調を崩していない状況なのに流動的なメニューが続いていないか

□ 食事中に水分を誰よりも飲む傾向がある(子どもは除く)

 

 

特に2番目の項目である「常にご飯の上におかずをのせて口に放り込む食べ方」をしていると、「常に味がついた状態で食べる習慣」がついているため、もぐもぐエクササイズはうまくいかないケースがあります。

口の中の機能は、本能的に飲み込みやすい機能を先行するために、口の中に食べ物が詰まったと感じたらお茶などで流し込んでしまいます。

常に丼もののようなメニューを食べさせることで、幼児期は鋭敏な味覚を持っているので「濃い味」が習慣化しかねません。

もぐもぐエクササイズを家族で実践しようと思ったら、ご飯とおかずは別にして、トライしてみてください。

 

最近、白米だけだと無味と思っている方が増えています。

お米の主成分はでんぷんで、最終的にはブドウ糖として体で使われることを考えたら、お砂糖と同じ仲間です。

ということは甘味をもった食べものなのです。

そしゃくの回数が10回程度ですと、大人の味覚として感じる能力では、なかなかお米の甘味を感じることなく飲み込んでしまいますが、あと5回、10回と噛む回数を増やしていくことで、甘味を感じることができます。

甘味を感じられるくらいまで大人がそしゃくができるようになれば、お子さんへの食べ方のお見本が自然とできています。

そしてそれだけ味覚を研ぎ澄ませて食べられると、うす味でも美味しく感じるという変化も期待できます。

うす味でもおいしいと大人が思えば、家族みんな同じメニューで食べられますね。

 

ここまで「食べ方」が変わると、「イライラしていた食卓風景が最近減ったかも」と実感するはずです。

お母さんをはじめ一緒に食べている大人が笑顔であれば、子どもも「一緒に食べるとおいしいね」という気持ちが育まれ、気持ちもお腹も満たされ、リラックスした気持ちで眠りの時間まで過ごすことができ、寝付きも変わるのではと思います。

 

寝付きと寝起きがよくなる「げんき食」の実践④に続く