「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、昨年4月号より今年3月号まで1年間連載をしておりました。
児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開しております。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。
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◆「げんき食」の実践で時短×コミュニケーションの場づくりの一層の支援を
成長と発達に応じた食事作りは大変であると捉える保護者は多く、料理が苦手なお母さんにとってはさらにプレッシャーになることでしょう。
そういうときこそ、「げんき食」の実践を勧めてみてはいかがでしょうか?
げんき食の組み合わせであるごはんと具沢山みそ汁、この2つのお椀で十分に栄養バランスが整いやすいとお伝えしてきました。
ここに、あと1品を足して、夕食にしましょう。
お肉やお魚を焼いただけでも十分です。
それを食べる方法がトマトソース仕立てなのか、残り野菜でまとめた野菜あんかけにしたり、だしが効いたとろみでシンプルにいただくなど、ちょっと見た目が変われば同じ食材だって飽きません。
「食欲をそそる工夫をしなければ!」と彩り良く、見た目を意識して、たくさんの食材を使って…と考え、レシピ検索などをしていれば、足元でお子さんがぐずりはじめてしまいますよね。
シンプルな組み合わせでもう1品を手短に繕い、出来るだけ親子一緒に共食することを優先すればいいのです。
これだけで「“一緒に食べる”という自宅での食育がしっかり実践できていますよ!」とまずはお母さん方に伝えましょう。
子どもの「おいしい」と感じる気持ちは、単に味だけで判断するのではなく、親子の顔と顔を合わせた自然なコミュニケーションによっても感じ方が変わります。
慌てて、時にイライラしながら作り、さっと食事を済ませなくては!と焦った食事では、どんなに味が良くても、子どもがおいしかったという気持ちを声に出す機会すらないでしょう。
また、「早く食べなさい」ばかりを言いながら、大人自体が「早食い」や「ながら食い」をしてしまっては、もぐもぐエクササイズを実践する機会も奪われてしまいますね。
食事の品数が減るという「げんき食」の副産物として、後片付けの手間も減らせます。
まだまだお子さんを寝かしつけることが多い乳幼児期。
「寝かしつけながら母も寝落ちするというケースも多いと思います。
台所で食べた食器や器具が残ったままの惨状を見た時の、疲労感と自責感から少しでも解放されればお母さんも喜ばれるのではないでしょうか。
◆ごはん6:おかず4(みそ汁含む)の割合で目覚めのいい朝と朝ごはんのリズムを
ごはんと具沢山のみそ汁を基本とした「げんき食」の組み合わせは、食べた後の体への負担もかけにくい組み合わせともいえます。
調査研究の結果にもあるように、保育所児は就寝時刻と夕食の時間の間隔が短くなりやすいからこそ、食事自体が体の負担にならない組み合わせを重視することが大切だといえるでしょう。
炭水化物が消化に要する時間はたんぱく質や脂質より短時間です。
寝る前までにある程度の消化を進めておけば、睡眠時間中はより体を休め、明日への活力を生み出すとともに、体を成長させることも優先できますね。
乳幼児は日々食べた物で毎日のげんきと体が心を急成長させることが同時に進んでいく時期です。
就寝前は、なるべく消化に負担がかからない食事を提供することも大切ですね。