昨年4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。
児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。
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前回の出口から考える食育をテーマにした内容までで、食べものの入口から出口にわたっての支援のあり方をお伝えしてまいりました。
今回は少し視点を変えて、幼児の就寝時刻が遅い家庭に向けた支援を考えます。実は、ここでも「げんき食」が有効なのです。
◆幼稚園児と保育所児の間には「21時以降に就寝する」割合に差が認められる
日本栄養士会雑誌2018年1月号に実践事例報告「幼稚園と保育所に通う幼児を対象とした食・生活習慣調査~男女別施設別比較:小谷清子、京都府立大学大学院生命環境科学研究科、他」という興味深いレポートが掲載されていました。
調査は地域の幼児の食育に資することを目的に京都府北部の幼稚園、保育園の保護者を対象に実施されたものです。
*属性4項目(性別、生年月日、クラス、同居者)
*身体特性2項目(肥満、やせの割合)
*健康状態についての回答
・寝付きが悪い、眠りが浅い ・いらいらしやすい
・う歯がある、風邪を引きやすい ・よくけがをする、疲れやすい
・よく腹痛、下痢を訴える ・顔色が悪い ・気になることは特にない
その他の複数回答
*食習慣7項目
朝食時食欲、朝食頻度、朝食共食者、朝食品目、夕食時食欲、夕食時刻、
家族そろって夕食を食べる頻度
*保護者にいる子どもの食事に対する認識2項目
子どもの食事でよくできていること、子どもの食事で困っていること
この中で注目したのは施設別での結果の違いです。
どちらに通っていたとしても肥満ややせに対する割合はほぼ変わらないのに対し、1日の中で過ごす生活リズムの違いが明らかでした。
保育所児は幼稚園児よりも夕食時刻が遅い割合が優位に高く、また、就寝時刻についても21時以降に就寝する児の割合は保育所児のほうが高くなっていました。
夕食の時刻や就寝時刻は保育所児のほうが遅い傾向にあるというのは当然な結果といえるでしょう。
園児をお迎えに行った後の保護者は1分1秒たりとも無駄にせず、「早く食べさせなくては!」と頑張っています。
理想的な夕食時間を伝えることは、お母さんへのプレッシャーになるばかりです。
また、就寝時刻が遅くなる要因として、保育所での午睡が報告されており、この生活習慣によって寝付きが悪いと回答する傾向もありました。