昨年4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。
児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。
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げんき食実践の3つのポイント③-2
~便育のすすめ・「お便り」の点検(うんちチェック)から~【1回目】
~便育のすすめ・「お便り」の点検(うんちチェック)から~【2回目】
◆一緒に観察♪便育を考えた子育てで食べるものにも関心が持てる子どもに
排出される便の形や色は、食べたものに影響を与えます。だからこそ、便が出たときはできる限り親子で観察してみましょう。
私の子どもは、栄養士という仕事をしているママという認識と同様に「うんちの先生」と認識していたようです。
幼児のころから一緒にトイレに行っては、次のような会話をしながら観察してきました。小学生になった今もきちんと便の様子を報告してくれるので、忙しい中でも健康観察にとても役立っています。
*立派なうんちがでたとき
「すごい!しっかりバナナさんがでたね~」(バナナとは理想的な形の象徴です)
「もぐもぐ上手に食べられたね」
「次もげんきなバナナさんがでるといいね」「ママとても嬉しい気持ちだよ」
*軟便傾向の場合
「にゅるっとでたんだね。バナナよりもやわらかそうだったね」
「トイレットペーパーにたくさんうんちがついちゃったね。ちょっとやわらかそうだね」
「もぐもぐさんが少し足りなかったのかな」「次の食事ではたくさんもぐもぐしようね」
*下痢気味の場合
「トイレットペーパーをたくさんつかっちゃったね」「いやだったね」
「なにか冷たいものをたくさん食べなかったかな?」
→この質問のあとにはこどもは原因となるようなことを考えます。小さい頃からヒントを伝えておくと成長するに従って自分で原因を探ろうとします。
(例)「ジュースをたくさん飲んだ」「一気にお菓子を食べた」など
下痢気味の場合は、大腸での水分吸収が追いつかないうちに便が出てしまうことが多いため、色が黄色になりやすく、臭いも異なるケースがあります。
よく観察してみましょう。
また、緊張している時にもお腹がゆるくなる子どもがいますので、お腹を温めて、緊張を解くような声がけをしてあげるとよいでしょう。
我が家では温めた手をお腹にあてて「げんきになあれ」と呪文を一緒に唱えていたりしました。
*固い便がでたとき
「うんち出す時にお尻が痛くなかった?」「頑張ってだせたね。でも痛かったね」
「カッチカチに出ちゃったね」「お野菜が足りなかったかもね。次の食事で食べようね」
「我慢しちゃったのかな?我慢しなくていいのよ」
「うんちが出そうになったら『うんち!』って言っていいんだよ^^」
水分を摂る機会が少なかったり、運動不足の場合にも起こりやすいといわれています。
便秘になりやすいような食行動になっていないか今一度もぐもぐエクササイズのコツをチェックしてみましょう。
そして最後に一緒に流して、次に使う人が気持ちよく使えるよう。
トイレのマナーや排便後の手洗いも合わせて身につけることを習慣づける声がけをしましょう。
◆出口からの内容を観察して次の食事に活かす声がけと支援を
子どもは実際に見た、経験した(褒められた、痛かった)ことに対してとても敏感です。
いい経験をすれば次もいい経験ができたら嬉しい、嫌な経験は二度としたくないと思うものです。
お野菜が食べられないと食べる前に怒るのではなく、食べないと痛かったよねと経験を通して語りかけることで「食べてみよう」という気持ちを促せるのではないでしょうか?
また、お菓子ばかり食べたがる、アイスやジュースなど冷たいものばかり食べたがる場合もうんちが気持ちよくだせるかな?と確認してみるのもいいですね。
**もっと身近に…うんちを表現する言葉を考えてみましょう************
「下痢」「軟便」など、子どもはあまり親しみを感じません。
「うんち」という言葉に子どもたちはなぜか引きつけられるものです。
ある絵本に便の状態をひらがなで表現した擬態語をつかった単語で表現したものがあります。
そのような絵本を参考にするのもいいですね。
園やご家庭での言葉をつくって便育と食育との両方で、「子どものげんき」を引き出していきましょう。
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参考絵本:「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」
作:村上八千世 絵:せべまさゆき ホルプ出版