こんにちは!
理事の大塚千夏子です。
子どもの認知発達は遊び方の変化に大きく関わります。
同じ遊びでも、発達段階が進むと遊び方が変わるのです。
特に2歳ごろと3歳ごろには大きな違いがあります。
発達段階によって遊び方が違うことが分かると
子どもを観る目の解像度が一気にアップします。
今回も、私たち協会の理事であり、
子どもの認知発達の専門家である
沢井佳子先生に
ボール遊びについて解説していただきました。
ーーーーー
転がるボールを追いかけ、抱え込み、一緒にごろんと転がる。
「まだ上手に投げられない」と見るより、
子どもがボールの動きにどう出会っているかを見てみると、
遊びの豊かさが変わります。
沢井佳子先生は2歳頃の姿を、
印象的に「ボールに遊ばれるみたい」と表現します。
■2歳―球体の物性物理を全身で感じる
2歳頃は、投げて受けるという決まったやり取りより、
転がるボールそのものを追うことが楽しい時期です。
丸いものは転がる。
押す力が強いと遠くへ行く。
坂では速くなる。
大きなボールに乗ろうとすれば、自分の身体もごろんと転がる。
両手で抱えるほどの大きな柔らかいボールも、
投げる道具というよりは、
抱く、押す、追う、もたれる相手になります。
「ボールに遊ばれる」姿を
未熟さゆえのほほえましい姿と受け取るだけではもったいないのです。
ボールの性質を全身で感じながら、
自分の身体の大きさや力を丸ごと確かめていると思えば
一気に応援したい気持ちが出てきます。
■動く先を読む力
ボールを追いかけるとき、
子どもはただ走っているだけではありません。
沢井先生は、
動いているものに追いつくため、
子どもが行き先を見越して動いていると話します。
転がる方向と速さを見て、自分の進む方向を調整する。
言葉にはならなくても、頭の中では予測が働いています。
何度も取り逃がす経験も、予測を更新するための大切な情報です。
外遊びでも家の中の遊びでも
球体の持つ性質を全身で確かめる遊びの時間を
たっぷり設けてみてください。

■3歳―「ボール本来の使い方」へ
3歳頃になると、
大人や年上の子がする動きを見て覚え、後から再現する力が伸びてきます。
沢井先生は、
「見たものを、後でまねできる」ようになり、
蹴る、投げるなど、
目的に沿ったボールの扱いへ近づくと説明します。
サッカーなら足で相手の方へ送る。
的に向かって投げる。相手と交互に転がす。
動作に「どこへ」「誰に」「何のために」が加わります。
本物に近い模様のサッカーボールやバスケットボールにも関心を持ち、
スポーツの場面をまねることも増えるでしょう。
ただし、
3歳になればキャッチボールが完成するという意味ではありません。
身体の発達には個人差があり、
大きさや柔らかさによっても難しさは変わります。
■「できた回数」では 見えない育ち
何回キャッチできたか、
ゴールへ何回入ったか、
を数えると、つい成功だけに目が向きます。
けれども、
ボールが来る前に手を出した
転がる先へ回り込んだ
相手が受け取りやすいように近づいた
という変化にも大切な発達があります。
2歳の子と遊ぶなら、
取りやすい場所へゆっくり転がし、
返ってこなくても待ってみます。
子どもは返すより、抱えて感触を確かめたいのかもしれません。
3歳の子には
「赤い線から転がそう」「箱をゴールにしよう」
と簡単な約束を加えられます。
約束が守れなくても叱るのではなく、
遊びながら共有しましょう。
身体を動かす力と、相手に合わせる社会性は、
同じペースで完成するわけではありません。
■上手にさせるより、遊び方の変化を見る
「正しく投げて」「ちゃんと蹴って」と形を教えることを急がなくても、
子どもは遊びの中で力加減と身体の使い方を学びます。
2歳なら、向かい合って転がす、坂から転がして追う、大きなボールを一緒に押す。
3歳なら、近い的を狙う、簡単なゴールへ蹴るなど、「目的」を少し加えると楽しめます。
ボール遊びをするときには
安全のため、年齢に合った大きさと柔らかさ、遊ぶ場所を選びましょう。
転がるものに全身で巻き込まれる2歳。
動きをまね、目的に合わせてボールを扱い始める3歳。
同じボールを追う姿であっても、
予測、模倣、運動の発達の進み方によって
「わかること」と「できること」の違いが読み取れます。
ご自身のお子さん、公園の親子などの遊ぶ姿に
是非注目してみてください。

