お口徹底解説〈Part10-1〉 口腔の基礎知識:意外と知らない? 花粉症と口腔の関係

こんにちは、歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。

日中は暖かい日差しのある日が少しずつ増えてきましたが体調も崩しやすい時期。

皆さんお変わりありませんか?

 

私は1月中旬頃から鼻がぐずぐずし始め、風邪かな?と思っていたら

花粉症の始まりだったという、毎年恒例の体調の変化に翻弄されています。

 

春は花粉症の薬が手放せなくなっているという方も多いかと思います。

そこで今回は、花粉症と口腔についてお話します。

 

花粉症の薬(抗アレルギー薬)は、

花粉(アレルゲン:アレルギー反応を引き起こす物質)が体内に入り込むことで引き起こされる

さまざまな体の症状(鼻水・くしゃみ・目のかゆみ他)を緩和するものです。

 

花粉が飛び交う時期は1日中悩まされるため、何も手につかず不快で何とかしたい!!と

薬に頼らざるを得ません。

 

薬を飲んで不快症状が緩和するととても楽になりますが、

鼻水やくしゃみは体内に侵入してきた異物である花粉を体外へ排出するという

とても重要な役割を担っています。

 

抗アレルギー薬には様々な種類がありますが、中には分泌液の量を減らす効果があり、

そのため唾液の分泌も少なくなることもあります。

 

抗アレルギー薬以外でも、薬の副作用として多い症状に

「口渇(ドライマウス)」が挙げられます。

 

唾液の効果は以前のブログでもお伝えしていますが、

むし歯や歯周病といった歯科疾患の予防に重要です。

 

ここでもう一度、おさらいをしましょう。

【唾液の役割】

・再石灰化

・緩衝能

・洗浄

・消化酵素

・粘膜の保護

・味覚を感じる

・食べ物を飲み込みやすくする

このように唾液は凄いパワーを持っていますが、

薬の副作用によって唾液の分泌量が減り口渇が続くと、口腔内への影響も出てきます。

 

唾液が少なくなると口の中ではどんな事が起こるのでしょうか?

主に5つの症状があります。

その対策も併せてご紹介します。

 

『この時期に繰り返す不調がある』

『花粉症のこどもの歯や食事のことで困っている』

などでお悩みの方は、ぜひ取り入れてみてください。

 

①むし歯

食べかすや唾液の中に増えた菌を洗い流すことができず停滞することで

むし歯や歯周病に関連する菌が増殖する。

再石灰化(酸によって溶かされた歯の結晶を元に戻す力)が行えず、

脱灰(酸で歯を溶かす力)が進み歯が溶かされる。

歯に小さな穴ができ、その中でさらに食べかすやむし歯関連菌が増え

脱灰が進みむし歯がさらに進行する。

《対策》

・三食の食事を規則正しく取る・おやつのだらだら食いをしないなど食事の時間を決める

・食後の歯みがきに加え、ぶくぶくうがいや虫歯予防対策のうがい薬を活用する

 

②歯周病

歯と歯の間や歯の根元などの、もともと磨きにくい部分の洗浄効果がさらに低下することにより

歯垢が成熟し、バイオフィルム(被膜状のバリアを持った歯垢

歯ブラシ・歯間ブラシ・糸ようじを使ってこすっても取り切れず、うがい薬もバイオフィルムを通過できないため

殺菌力も働かないことでバイオフィルム内・歯周ポケット内で歯周病関連菌が増殖。

歯肉炎が強くなり歯周病が進行する。

《対策》

・日頃の歯みがきに加え、バイオフィルム表面の殺菌効果が長時間続くタイプや

   バイオフィルム透過性のあるうがい薬を使用する。

    ※うがい薬の薬効にも様々な効果があるので歯科医師・歯科衛生士に相談してみましょう。

・いつもより短期間で定期健診を受診する、痛みなどの自覚症状がなくても歯科受診をする

 

少しボリュームが大きくなりましたので、残り3つの症状とその対策については

次回ご紹介します。お楽しみに!

 

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宗田 香織

1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。

2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・

インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。

2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。

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