こんにちは。歯科衛生士・こども成育インストラクターの宗田香織です。
前回に引き続き、ユニバーサルデザインフードセミナーのレポートを交えながら
乳幼児の咀嚼嚥下機能の発達や、ユニバーサルデザインフードの活用法などを
考えてみたいと思います。
咀嚼嚥下の機能に合わせた食事の楽しみ方 :ユニバーサルデザインフードセミナーレポート〈前編〉
生まれたばかりの乳児の栄養摂取は、母乳や人工乳などの液体から始まり、
離乳食では歯の萌出に合わせて様々な食材を初めて食べます。
何度も食べる訓練を重ねながら、だんだんと大人と同じ食べ物が食べられるようになっていきます。
口腔機能が目まぐるしく発達する時期ですが、それに伴い口腔内の変化も大きい時期です。
歯が生える時は痛みや違和感がある上に、どんな風に唇や舌を動かしたら
初めて食べる物を上手く噛めるか?どうやって噛んだら痛くないか?など
身体が慣れていないので、怖さも感じながら食事をしています。
私たち大人も乳児期に経験してきたのですが、その時期を過ぎるとすっかり忘れてしまいます。
咀嚼嚥下が当たり前にできているからこそ、乳歯から永久歯への生え変わりの時期や
歯科治療中、口内炎ができた時などに不快な思いや痛みを感じると
咀嚼嚥下機能が低下するので困惑することもあります。
いつもは当たり前に食べていた物が食べられない
好物や美味しく感じていた物でも食べたくない
そもそも食欲が湧かない
など食事に支障をきたし、一時的ではあるもののQOLもガクッと下がります。
もしかすると、精神的なショックは、大人になってからこの体験をした時の方が
大きく感じるかも知れません。
「口内炎ができて、水もしみる… これがいつまで続くんだろう」
「親知らずを抜いたら腫れて1週間以上何も食べられなかった…」
という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった時は、無理していつもの食事をするのではなくユニバーサルデザインフードに
頼ってみると栄養素もしっかり摂れ、治癒促進にも繋がることでしょう。
歯科医院では、保護者の方から乳幼児だけではなく小学生〜高校生と
幅広い年齢のお子さんの食事についての相談を受けることもあります。
・好き嫌いが多い
・甘い物や柔らかいものしか食べない
・ちゃんと噛まない
は、どの年齢でもよく相談内容として挙がります。
おとなの視点では、単なる「子どものわがまま」と捉えがちです。
しかしながら子どもの視点では、口腔の状態やそれに伴う機能低下、痛みなどが原因で
食べたくても食べられずに困っていたということは少なくありません。
そんな時も、歯科衛生士などに相談して一時的にユニバーサルデザインフードを活用したり、
それを目安にお子さんが食べられる食材の固さや大きさなどをご家庭で試してみたりすることもおすすめです。
今回のセミナーを受けて、ユニバーサルデザインフードは咀嚼嚥下機能に段階的に合わせた形状だけでなく
栄養バランス・色彩においても工夫をなされていることを知りました。
また、状況に合わせて選択肢も多いことから、患者様を支える上で歯科衛生士の
心強いアイテムになるとも感じました。
セミナーでは試食もさせていただきました。
いざその時になって初めて食べさせる(食べる)のではなく
提供・介助する側も食べてみて味や食感を共有することも大切です。
離乳食の疑似体験をしてみると、お子さんの口腔や咀嚼嚥下機能の成長発達を知る上で
大人にとっても良い経験になるのではないかなと思います。
今回の体験を通じて、心身共に健康を支える普段の食卓において
誰もが幸せに感じられるよう商品開発に真摯に取り組んでいるキユーピー株式会社様の
企業努力を知ることができました。
最後になりましたが、キューピー株式会社 前田様・山田様にこの場をお借りして
御礼申し上げます。
宗田 香織
1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。
2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・
インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。
2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。