こんにちは。一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
前回に引き続き、子どもが窒息を起こしやすい要因を見ていきます。
先週の記事では、(公社)日本小児科学会の「食品による窒息 子どもをまもるためにできること」※で挙げられている
2つの要因のうち「食べる力(噛む、飲み込む、等)」についてお話しました。
窒息予防の視点は常に意識していますか? ―窒息を起こしやすい要因とは
今回は、2つ目の要因である「食事の時の行動」について詳しく見ていきましょう。
食事の時の行動=普段の食習慣
窒息のヒヤリハットが起きやすい背景として、下記項目に該当する食事風景はありませんか?
□走り回りながら食べる、子どもを追いかけながら食べさせる
子どもはベビーチェアーから脱け出して、食卓から離れることがあります。
その際に、「待って!」「まだ食事中でしょ!」と追いかけながら食べさせてしまうと
万が一何かにつまづいた際に、誤って食べ物が気管に通ってしまう可能性があります。
□何個もほおばって食べることがある
大好きなものがあると「これは自分のものだ」と言わんばかりに
お口に詰め込む習慣のあるお子さんはやはりリスクが高いと考えます。
今までは大丈夫であったとしても、注意して見ていく必要があります。
□お兄ちゃんやお姉ちゃん、または大人の食べ物を食べようと奪ったり欲しがったりする
美味しそうに見える、「自分も食べることができるようになりたい」といった憧れなど
周りの人がたべている物に興味を示すことはとても素晴らしいことですが
その食べ物の大きさや硬さなど食べる力に見合っていないこともあります。
□泣きながら食べる、食べ物が入ったまま寝っ転がる(いやいやの表現)
お菓子のパッケージなどにも「泣いている時にはあげないように」といったニュアンスの
記載がされているものもあります。
普段食べる分には安心してあげられる物も、泣いている時は呼吸が乱れやすいですね。
また、いやいや期特有の寝っ転がって意志を主張する姿勢も、食べ物が気管に入りやすいです。
□食事中にびっくりするような声や音がする
これも上記と同じで呼吸が乱れやすくなる環境と言えます。
つい「早く食べなさい!」という口調が強くなることもきっかけになりかねません。
□手が出てしまうような兄弟喧嘩が食事中に繰り広げられる
食べ物の取り合いなど、ふとしか瞬間に喧嘩モードになることがあります。
この際に、口に入ったまま大声を張ったり、手が出てしまったりすると
体制が乱れるために窒息のリスクが高まります。
口に物を入れたままの「いやいや」も窒息のリスクに
「座って静かに食べようね」の言葉が意味すること
いかがだったでしょうか。
楽しく誰かと食べるという「共食」の考え方は、食育を考える上では重視されていますが
その方法が誤ってしまうと窒息事故というリスクにつながります。
しかしながら、これらの項目を一つひとつ禁止事項のように注意していては
食卓の空気が張り詰めた状態になって、楽しさどころではありません。
だからこそ、この一言が大切ではないでしょうか。
「座って静かに食べようね」
「座って静かに食べるってどういうことかな?」ということを子どもと話し合ってみましょう。
そうすれば、子どもたちから大人が注意するのと同じ言葉が聞こえてくるかもしれません。
こうした小さい頃からの習慣づけがとても大切なのです。
※日本小児科学会 〜食品による窒息 子どもをまもるためにできること〜
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。