一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
カゴメ株式会社開発のベジ・キッズ『考える力』プログラム五感でいのちの不思議をまなぶ野菜栽培キット(以降ベジ・キッズプログラム)を活用した野菜の栽培と、食育をより結びつけた園の事例紹介の連載。
前回に引き続き、「ポピンズナーサリースクール世田谷中町」様の様子をご紹介いたします。
カゴメ栽培活動×食育 実施園見学レポート 毎日観察できる環境でたべものへの興味が高まる保育園 ~ポピンズナーサリースクール世田谷中町様(東京都)〈前編〉~
愛着が一気に加速? お顔デコで作物と仲良くなってしまうアイデア
私自身、食育の取り組みとして、子どもになじみのある絵本を活用することをおすすめしているのですが、まさに絵本をつかった素敵な事例をみせてくださいました。
<袋のトマトの絵にニコニコ顔、パプリカにはお目目のシール>
『グリーンマントのピーマンマン』(岩崎書店)に出てくるピーマンのようなスタイルが、なんと栽培しているパプリカで再現されていました。
子どもたちもシールなどをつかって、おのおの好きなお顔にしあげることで、ただの収穫物から「わたし/ぼくの ◯◯」とお名前までつけてその様子を見守っていました。
<絵本を活用した取り組みの記録>
パプリカですので最初は緑。そのあとだんだん熟してくると赤やオレンジに変身!
自分が名付けた作物の成熟する姿への興味・関心が高まる仕掛けですね。
このようにただ大きくなることを観察するのではなく、より身近にそして仲良くなることで、注意深い観察を促すことにつながったことでしょう。
もしかしたら、野菜を苦手としている子どもでもお口にパクッとたべられる機会を作ることができたかもしれません。
(逆に可愛がっているからこそ食べられないという子どももいそうですね^^)
ちょうど昼食時間になる前に、施設長がピーマンマンのついた差し棒をもって歩き出すと、ぞろぞろと子どもたちが一緒に歩き始めました。
ピーマンマン、本当に人気者でした!
こうした、野菜への親しみを生む日々の働きかけがあるからこそ、野菜のキャラクターも人気者になるのですね。
野菜というキーワードでさまざまな食育展開
ベジ・キッズプログラムの「栽培&保育のガイドブック」に記載している、子どもが考えたり体験したりするためのツールの実践のほか、独自に企画された取り組みも充実している「ポピンズナーサリースクール世田谷中町」様。
5 つの味の「味覚体験」をされているとのことでした。
苦味のサンプルにピーマンの茹で汁、酸味はもちろんレモン。
味わって、どんな味がするかを子どもに表現してもらうのだそうです。
乳幼児の味覚は大人よりもより繊細です。
味わう経験をすることで、苦手と感じる味も調理という魔法がかかると、食べられるようになったり、舌で感じる味をじっくり捉えて表現したりする経験は、「好き嫌い」だけではない、食べることへの興味を引き出すことにつながっていると感じました。
そして、それが毎日の給食の時間にもつながっていて、子どもたちが楽しそうに食べている様子から感じることができました。
ここでも栄養士さんや調理師さんとの連携によってさまざまな食育が展開されており、とても素晴らしいなと感動いたしました。
食育指導計画をたてる際には、
・発達段階に応じた指導計画であること
・職員相互の連帯や協調をはかること
・保育所や幼稚園での保育の一環として指導すること
が重要となります。
その3点がより密に実践されていることで子どもたちが「楽しくたべるこども」に育っていけるのだと訪問を通してとても感じました。
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今年もまたベジ・キッズプログラムはお申し込み受付を開始しました。
ぜひ皆様の園でも、「お世話や食べることを通して「いのち」を学ぶ」「野菜を嫌いになる前に野菜に親しむ」「観察したことを表現する」など、野菜に接する機会を作り、自然の摂理によってたくさんの「なぜ?」に出会い、子どもたちの「考える力」を育む取り組みにしてみませんか?
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現在私は、保育者養成校で講師を務めていますが、学生にも栽培活動に取り組んでもらっています。
先ほどのお顔デコは早速取り入れて、子どもたちと同じように盛り上がり、学習意欲の向上に繋がりました。
また、学校前の道路がお散歩コースの近隣の保育園の子どもたちも足をとめてくれるようになり、べジ・キッズプログラムを活用して、野菜を身近に感じてもらうきっかけになったのではないでしょうか。
ベジ・キッズ『考える力』プログラム「五感でいのちの不思議をまなぶ野菜栽培キット」について
詳しくは下記をご覧ください。
商品サイト:
https://www.kagome.co.jp/company/kangaeru-chikara/
販売サイト:
http://patata-shop.jp/?mode=f3
隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。