一般社団法人日本こども成育協会 食専科ディレクターの隅弘子です。
カゴメ株式会社開発のベジ・キッズ『考える力』プログラム五感でいのちの不思議をまなぶ野菜栽培キット(以降ベジ・キッズプログラム)を活用した野菜の栽培と、食育をより結びつけた園の事例紹介の連載。
前回に引き続き、「はな保育園せきとり」様の様子をご紹介いたします。
カゴメ栽培活動×食育 実施園見学レポート 「やってみよう」からみんなで楽しむ保育と食の関わり 〜「はな保育園せきとり」様(愛知県)〜〈前編〉
観察はいつもの机とお椅子でじっくりと!
「栽培活動」というと、「スペースの確保」がネックとなりやすいですが、狭いスペースでもできるのがべジ・キッズプログラムの特徴です。
鉢が袋状になっているので、軽くて持ち運びがしやすくなっています。
日当たりのいい場所を子どもたちと考えて、袋を移動させたり、台風が来たら袋を室内に避難させたり、自由に移動することができます。
観察は園庭や畑でもできますが、袋の鉢を保育室の真ん中に置いて、360度の視点から子どもたちがじっくりと眺めたり触ったりすることは、小さな変化への発見にもつながります。
葉や茎の姿や、花が咲き、実に変わっていく様子、子どもたち同士が、違いを見つけ合ったり、お話ししたりするには、いつも生活をしている保育環境にあるほうが落ち着いて取り組めます。
観察のお絵かきも、子どもたちが対象物の周りを囲むように座って描くことで、さまざまな視点からの作品を引き出すことにもつながります。
<トマトの観察お絵かき中>
自分たちで育てた色はどんな色かな?香りもするね!
たくさんの実りは、食べる以外にも「遊び」にまで展開することができます。
例えば、収穫したパプリカと葉をすりつぶすと、カラフルな色水ができ、色水遊びに展開できます。
こうした遊びは五感を刺激する遊びです。
「すりこぎは上手にできたかな?」「葉っぱもこすってみると香りがするね」
「ベジ・キッズプログラム」をきっかけに、日々変化をしていくトマトとパプリカに触れることで、自然科学やいのちの不思議を発見していることが、子どもたちの様子やたくさんの記録から感じることができました。
管理栄養士の私にとっても、子どもたちが、植物の変化や季節のイベントに触れながら、まざまな「食」の経験を楽しく重ねていることは、とても喜ばしいことでした。
見学時も園児が、「見て見て!」と声かけてくれたり、おままごとに誘ってくれたり、コミュニケーションにあふれた日常に触れることができました。
いつも楽しませてくれる先生との信頼関係が食育の経験値を高めている
訪問したときは、秋のイベントであるお芋掘りごっこをした後の時期でもありました。
畑は園内にありませんが、園長先生自ら蔓のついたお芋を農家さんから譲っていただき、砂場スペースに埋めてリアルお芋掘りごっこをやったばかりだそう。
掘ったばかりのお芋を描いた園児のお絵かき作品は、髭のついたお芋や、蔓や葉っぱを鮮やかに描いたものなど、生き生きとしたアート作品のようでした。
他にも「本物に触れる」ことを意識した素晴らしい取り組みの様子をたくさんご紹介いただきました。
「はな保育園せきとり」様では、「食育」を「経験」につなげ、子どもたちが自然と「何だろう?」「触ってみたい!」「匂いは?」「食べてみたい!」と感じるような機会をつくり出していました。
「食育」を考えるときに、保育計画には「体験」という言葉を使うことが多いと思います。
「体験」と「経験」は言葉の意味が少し異なります。
お試し・単発という要素に近いものが「体験」とするなら、「経験」はより自分ごととして連続して取り組みながら五感を働かすことで学びにつながる取り組みです。
今回、滝口園長先生から、ベジ・キッズプログラム導入における様々な活動をお伺いすることで、子どもたちが「本物の経験」をすることの大切さを改めて感じることができました。
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ベジ・キッズ『考える力』プログラム「五感でいのちの不思議をまなぶ野菜栽培キット」について
詳しくは下記をご覧ください。
商品サイト:
https://www.kagome.co.jp/company/kangaeru-chikara/
販売サイト:
http://patata-shop.jp/?mode=f3
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隅弘子 一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター・管理栄養士
【略歴】
mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動している。
都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画を行う。
子育て支援サイトや保育士求人サイト内でのコラム記事協力を行う。